胃がん腹膜転移再発の大敵「遊離癌細胞」をEIPLで大幅除去
腹膜転移再発は胃癌において最も頻度の高い再発形式であり、腹腔内に浮遊した癌細胞が腹膜に着床し増殖することによって生じるとされています。まだ明らかな腹膜転移がなく、遊離癌細胞だけの段階であれば、これを取り除ければ腹膜再発予防につながるのではないかということで、当科では腹腔内大量頻回洗浄法(EIPL法)を行っています。
EIPL法は、病巣切除後に1Lの生理食塩水で腹腔内を丁寧に洗浄した後、十分な吸引を行うという操作を10回繰り返すという‘限界希釈原理’を応用した極めてシンプルな手技です。1回の操作で浮遊細胞が1/10になると仮定して,10回行うことによって100億個あった浮遊癌細胞をほとんど取り除くことができると想定されます(図1)。
このEIPL法と腹腔内化学療法を組み合わせた治療を行って、極めて良好な成績を得ました(図2)。