病院長挨拶

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-正しい批判力を持つ国民が一肌ずつ脱いだら-
〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年夏号 病院長挨拶より〜

 皆さま方のご支援のお陰によりまして、新築事業は順調に進んでおります。 現在、本年12月竣工を目指して、外壁工事は9割方終了しているところですが、7月中旬にちょっとしたイベントが待っております。 それは、新病院竣工に伴い、病院名を「八代総合病院」から「熊本総合病院」に変更することとなりましたので、 その品のよい看板を外壁に取り付けます。ところが、竣工後に高層部分に設置することは安全性の面から不可能ですので、 外壁に強固に取り付けたまま吊りあげて、地上60mの最上階に設置致します。従いまして、市民の皆さんも驚かれるかもしれません。 しかし、新病院竣工後も、市民の皆さんは、これまで通り「総合病院」「総合病院」と親しく呼んで頂ければ幸いです。

 

ところで、50年以上前、有名なケヴィン・リンチという建築家が、その著書「都市のイメージ」の中で、 「都市には色々な役割があるが、その重要な役割は、人々に見られ、記憶され、楽しまれることである」と言っています。 都市の成り立ちとは、他の芸術とは異なり、個々の建築物や環境の大集合ですから、色々な個性や主張があったりなかったりする 人間や会社やその土地の色々な環境で、結局、ぐちゃぐちゃにならざるを得ず、ケヴィン・リンチ自身も 「美しくて快適な都市環境は存在する方が奇妙だと言えるくらい少ない」と不可能に近い位だとの結論を出しています。 そして、それから50年以上も経った現在、日本の戦後に美しくて快適な都市が生まれたでしょうか?残念ながら、否です。

 

政治に関しましては、今日の産経新聞で石原慎太郎が「歴史を振り返ってみると世の中を変えたのは絶対的な力、 端的に言って軍事力だということが良く分かる。如何なる聖人が如何に崇高な教えを説こうと、それが物事を大きく動かしたという 事例は殆ど見つからない」と語っています。成る程、政治も色々な個性や主張があったりなかったりする人間がその利害や欲望の中で、 これまたぐちゃぐちゃですから、良い政治が通常のプロセスで行われることは、都市の美しくて快適な成り立ちが不可能に近いと同じく らい極めて困難であるため、残酷です。ローマ皇帝のネロが、都市を自分の思い通りに創りかえるために、ローマ全体を焼き尽くして しまったことは、あまりにも有名ですね。

 

ケヴィン・リンチは、最後の望みを込めて、「都市のデザインの芸術が高度に発展するかどうかは、正しい批判力を持つ国民が 誕生するかにかかっている。もし芸術と国民が共に成長するならば、我々の都市はその時こそ、その数百万の住民の毎日の生活を楽しく する源泉となることができるだろう。」と締めくくりました。政治に関しましても、全く同じことが言えましょう。

 

不肖わたくし共八代総合病院のキャッチフレーズは、「医療を通じて、公に一肌脱ぐ」でございます。幕末日本の儒学者佐藤一斎も 「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うこと勿れ。只、一燈を頼め。」と、世情は異なりますが、良いことを言っています。 「一燈が万燈」、「一肌が一億肌」でございます。

 

さて、今年度から熊本市は政令都市となり、何と八代市が熊本県第一の都市となってしまいました。出来ればもっとガツーンと行きたい ところではございますが、わたくし共は正しい批判力を持ちながら身の程を知って、「医療を通じて、公に一肌脱ぐ」を「生気湧水」の かたちと致しまして、これからもこつこつと最新高度医療を行い、八代の新しい街創りに少しでもお役に立つ病院建築に向けて、 これからも鋭意努力して参ります。

 

今後とも、皆様方の倍旧のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成24年7月



 
2012.11

-「長幼の序」-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年秋号 病院長挨拶より〜

 

2012.7

-正しい批判力を持つ国民が一肌ずつ脱いだら-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年夏号 病院長挨拶より〜

 

2012.4

-金太郎飴とガス抜き-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年春号 病院長挨拶より〜

 

2012.1

-成果は1%-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年新年号 病院長挨拶より〜