病院について

「地域包括ケア」は即ち「まち創り」という当院の提案


1.「まち創り」には「ストック型街創り」が不可欠

「まち創り」には、勿論、計画性が必要ですが、日本は「既存のまち」だらけですから、まち全体を計画的に作り直す事は、あるローマ皇帝のようにまち全体を燃やさない限りできません。そこで、「街(中心市街地)」なりとも計画的な「街創り」を気長に行いながら、さらに気長に「全体のまち創り」を行うことが極めて重要と思います。そこで、「街創り」を行う上で、忘れてはならないことは何でしょうか。それは、「ストック型街創り」をすることではないかと思います。図1を見てください。戦後日本の建築のように安かろう悪かろうの「スクラップ・アンド・ビルド」を繰り返せば、下段のように100年経っても、何も残るものがありません。それが正に、尻つぼみの現在の日本です。ところが、上段のように、世代を超えるような価値ある建物(レガシー:遺産)を順次気長に作っていけば、いつかは後世がプライドを持つ美しい街が出来上がることになり、初期投資はかかるでしょうが結局はエコなのです。

(図1)まちづくりのためのストック型社会

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2.まちなか公的病院を核としたストック型街創りと地域包括ケア

「地域包括ケアの推進」は、わたくし共JCHOの重要な使命の1つです。そして、「地域包括ケアの推進」のためには、そのネットワークを形成する 「まち創り」が必須であることは言うまでもありません。図2を見てください。現在の日本は、超高齢化社会を迎えています。また、殆どの自治体の中心市街地はシャッター街となって廃墟のようです。そこで、市役所や銀行や郵便局や史跡やアーケード商店街がある中心市街地に、熊本総合病院のような「まちなか公的病院」を核として、医療・介護・リハビリテーション・福祉と住まいを集約すれば、自治体の中心市街地は蘇り、高齢者は散歩しながら日常の生活やケアができます。そして、その周辺に比較的若い人達が住み(文教地区)、郊外に会社や工場を配置すれば、高齢者を大事にできる「地域包括ケアの推進」に向かって、後世のためにレガシーを残すこともできる実りある「まち創り」となることでしょう。

(図2)まちなか病院を核としたストック型街づくりと地域包括ケア

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3.ストック型街創りの集合が実りある地域包括ケアが行える国創り(図3)

この「まちなか公的病院を核とした街創り」は、地方の1自治体のためだけでなく日本全体の繁栄に結びつかなければなりません。図3を見てください。日本には大小様々な自治体がありますから、自治体の大きさに合わせて、「まちなか公的病院を核とした街創り」を適切に区画し配置する計画が重要です。そうすれば、廃墟のような中心市街地のみならず自治体が蘇り、今後の大きな課題である「地域包括ケアの推進」も合わせて行うことができ、地方から日本全体の繁栄に結びついていくのではないかと考えています。

(図3)適切に区画されたストック型街づくりの集合体

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