病院長挨拶

  • 2019_
−アスクレピオスが舞い降りる−
〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年新年号 病院長挨拶より〜

 八代総合病院は、医師会の先生方、熊本大学医学部教授陣、行政ならびに地域の皆さまのご支援によって、八代地域医療の主軸として社会に貢献できるようになり、ついに、この平成23年の新年早々、八代地域住民にとっても当院の職員にとっても、正に念願であった新病院建設事業が起工いたしました。本当に皆さまのお陰と心から感謝申し上げる次第でございます。

 

ギリシャ神話に登場するアスクレピオスは、皆さんがよく見かける半人半馬の賢者ケイローンに育てられましたが、師を凌ぐほど医学に才能を発揮しました。やがて独立し、その医術の技は、益々熟達し、ついに死者までも生き返らせることが出来るようになりました。 そして死後、天に召し上げられて、「へびつかい座」となり、医の神様として神の一員に加えられました。その杖にヘビの巻きついたモチーフは「アスクレピオスの杖」(蛇杖)と呼ばれ、医の象徴としてWHOをはじめとして世界的に用いられています。わたくし共も、「アスクレピオスとその蛇杖」を年報の表紙にデザイン化しております。そして、実は、何と、この医の神アスクレピオスが新病院の正面玄関ホールの階段前に舞い降ります。

 

4年前までは、当院は熊本県で最も危機的病院でございましたが、皆さま方のご支援のお陰で経営も短期間で良くなりました。次に、何という幸運か、その経営が良くなった途端、八代総合病院の斜め前の八代白百合高校が移転することとなり、この八代において利便が最高の中心市街地に新病院建設予定地を購入できました。そして、熊本大学医学部教授陣のご高配により、素晴らしく優秀な医師団を派遣して頂き、八代地域住民に極めて質の高い高度な医療を提供できるようになりました。正に、遠く「へびつかい座」から、医の神アスクレピオスが采配しているとしか考えられません。

 

年末のテレビが、東大に合格したのに東大をやめてアメリカの大学に入学しなおした学生にインタビューしていました。学生曰く、「こんな米国の歴史ある美しい建物の中で勉強出来て幸せだし、プライドが育つ」「教授に阿ることなく競争しているが、間違いなく正当な評価を受けている」「せせこましい日本を脱出して良かった」。日本にも良い物は沢山あります。ところが、どうもその良い物は戦前の物に限られるようです。戦争によって失ったものが今、日本に極めて悪い影響を残してしまったのでしょうか。アメリカの戦後の対日本政策によるマインドコントロールにやられてしまって、私を含めていい大人が骨抜きにされてしまいました。くだんの学生も含めた若い人達もがっかりするような日本になっちゃいました。それでも、いい大人は、まだまだ、体裁を作るのに一生懸命です。残念です。ここはひとつ、当院の新病院では、アスクレピオスに舞い降りてもらいましょう。そして、どんな形で舞い降りて頂けるのかについては、竣工の時を楽しみにしていて下さい。

 

人間は皆、死に向かって一直線です。しかし、生きている間は、プライドを持って、公に貢献しなければなりません。そして、次の世代、その次の世代へと脈々と更に良いものを渡していく努力をしなければなりません。当院の職員全員は、プライドを持ったプロの医療人として「一肌脱ぐ」ことによって、最新のチーム医療を行うのみならず、子孫に脈々と引き継ぐべき新しい街創りの契機として、新病院を建設して参ります。

 

本年も、皆様方の倍旧のご指導とご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成23年1月



 

2011.11

-西の「男気」と東の「なでしこ」-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年秋号 病院長挨拶より〜

 

2011.7

-美しいものが真実であり脈々と続く-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年夏号 病院長挨拶より〜

 

2011.3

新年度病院長挨拶 −A brave new world−

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年春号 病院長挨拶より〜

 

2011.1

−アスクレピオスが舞い降りる−

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年新年号 病院長挨拶より〜