病院長挨拶

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最新型手術支援ロボット「ダヴィンチXi」導入
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2018年 秋号 病院長挨拶より〜

「失敗記憶自動消去装置」

 今年の夏はとんでもない猛暑で、つい最近まで暑さが続き、また、季節外れとも言うべき台風に悩まされましたが、矢張り、ちゃんと秋は来るようで、皆様方におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

 私共の「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 熊本総合病院」の全職員は、さらに質の高い医療の実践をしながら、「地域医療のみならず地域包括ケアの推進」というJCHOの使命を果たしつつ、大いに公に貢献するように努力しておりますが、すべては、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。
また、最近、さらに質の高い医療の実践を行うために、表紙に掲げましたような「最新型の手術支援ロボットダヴィンチXi」を導入し、外科ならびに泌尿器科医師の資格習得も恙無く終了いたしました。一般的に言われておりますように、メンテナンス費用も高額で採算は取れませんが、益々、県南の地域医療の向上に貢献するために一肌脱ぐ決断をしたところでございます。

そして一方では、当院の100%の職員が人的に皆様方のお役に立てるように、全職員に毎日の朝礼で、①報告・連絡・相談(ホウレンソウ)、②あいさつ・心遣い・フットワーク、③基本的ルールの厳守、を暗誦させ人材教育をいたしております。

 ところが、恥ずかしいことに、ほんの一部の職員ではありますが、当院の最も重要視する上記①番が抜けること、特に、「同じ失敗を何度もリピートする事実」を目の当たりにし、どんな優秀な組織においても避けられないことではございますが、どうすれば少しでも改善できるかに頭を悩ませております。

 図に示しましたように、「失敗と勇気」は、正に両天秤、言い換えれば諸刃の剣でしょう。てんびん1-300x217人間には失敗がつきものです。私もこれまでに「穴があれば入りたい大失敗」を数え切れないほど冒しており、さらに過去の失敗が頻回に蘇っては私を苦しめます。人に言えない失敗も色々とありますがオープンできないことは控えまして、例えば、米国国立がん研究所では、夜中の時間も有効に使うために電気泳動装置を夜間使用し排水口が詰まったためにその冷却水が溢れ出しあの軍艦のように広い8Fフロアーのみならず7Fまでも洪水を起こし皆に1週間も口を利いてもらえなかったことや、新しい遺伝子研究のために低温室のなかで大腸菌が大繁殖し皆の研究全体に被害を及ぼし日本人の評判を貶めたこと等など、数え上げればキリがありません。しかし、大失敗は冒しましたが研究室の前進には必要なことだと米国研究者も理解して何とか許してもらえたものと思います。

 「失敗を恐れて立ち向かう勇気を捨てるのか、大義ある勇気のためには続いて起こる辛い失敗を敢えて取るのか」という選択の時に、「失敗とは、すなわち、失敗を恐れて何もしないことだ」の言葉を噛みしめれば、自ずとその決断はなされましょう。

 ただ、それよりも喫緊の問題は、前出の「同じ失敗を何度もリピートする事実」です。これを何とか阻止せねばなりませんが、その対策はどうしたものでしょう。ところが最近、ごく一部の職員の中には「失敗を耐えられないが故にそのメモリーを自動的に消去する機能」を持ち、表題の「失敗記憶自動消去装置」が自身も知らない内に起動し、「ずっと真の自分と向き合うことができない」のならトンデモナイことになると気付きました。そして、この根底にあるものが、この装置がごく一部の人にとっては生きていくための「自分を直視しない」無意識の潜在的自己防衛機能だとしたら、益々、その解決は闇の中と愕然としているところです。

 私も、酔っ払った時は同じ間違いを何度も繰り返している人間ですかから、人に言えた義理じゃありませんが、それはどうか「お酒の神バッカス」に免じてお許しください。

 何はともあれ、わたくし共の熊本総合病院は、引き続き全職員が一丸となって、「医療と共に、公に一肌脱ぎ」ながらJCHOの一員として「まちづくり」で地方創生に貢献できるように、さらに精進して参ります。本年も、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

平成30年10月

 

 
2018.7

創立70周年記念パーティー

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2018年 夏号 〜

2018.1

きっと良い年、まちがいなし

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2018年 新年号 病院長挨拶より〜