病院長挨拶

  • 2019_
-金太郎飴とガス抜き-
〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年春号 病院長挨拶より〜

 永遠に世界天災史に残る大災害であった3.11東日本大震災から、1年が経ちました。ところが、報道を見ておりますと、まだまだ復興どころではなく 復旧すら皆目進んでない実情を目の当たりにして、日本政府ならびに日本官公庁の計画性ならびに国を想う心の欠落に落胆するばかりです。確か、 復興だ復興だと太鼓を鳴らした時期もあり、雄々しい復興をかなり期待したのですが、あのなんとか復興委員会や復興庁とやらは何処で何をしているのか、 その姿さえ見えません。また、一番重要な人命については、何故、津波の避難訓練は何度もしていたのに、高台に逃げずに防災センターなどの土地が低い施設に避難し、 多くの人が亡くなったかに疑問が寄せられています。

 

ところが、以前、何かの報道で某市の殆どの民営保育園児は一人も死んでいない、と聞きとても興味を持ちました。そして、そこで分かったことは、保育士さん達の理念は、 「自分達が先頭に立って、何としてでも園児の命を守る」であり、いわゆるお役人に頼らずに「避難経路と方法・場所を自分たちの考えで決定した」そうです。その詳細は、 ①津波警報が出ればそれが例え無駄であっても、何と言われようが必ず高台に避難する、②道がなくても近道になれば地主に交渉してでも、退避路を確保し避難経路とする、 ③避難車(職員の自家用車)に、最後の車は空でも良いから、さっさと次々に乗れるだけ載せて運ぶ、④「園児を守る」ための行動であれば全て職員の裁量に委ねる、とのことで、 とても感銘を受けました。

一方、同市教育委員会が指導していたある公営の小学校では、全児童の7割近い74人が死亡・行方不明になっており、教職員も13人中10人が死亡・行方不明だったそうで、 「避難経路を決定するお役所仕事の鵜呑み」「自分達が先頭に立って、何としてでも児童の命を守るという理念に到達していなかった」という反省と結論でした。

 

中国のことは言いたくありませんが、共産党一党支配でなかった昔々の王陽明は、生気湧出(広大な池の溜まり水のようであるよりも、小さくとも渾渾と湧き出る泉のような人間になれ) と言っております。日本の官僚制度に詳しいジャーナリストのウォルフレン氏が私利私欲で悪名高いと評価している「日本官僚制度の父:山縣有朋」から脈々と受け継がれ変革することが できないように政治主導とならないように仕組まれた近代日本官僚制度は、正に現代日本の「広大な池の溜まり水」であり、それが何処を切っても「金太郎飴」となって、日本社会の中央 から田舎の津々浦々まで浸透し、そして時々、「ガス抜き」という手法によって騙され賺され続けている訳です。本当に、わたくしどもは衆愚と言われるゆえんでございます。

一方、先の某市の殆どの民営保育園の保育士さん達は、正に、自分達が育てている可愛い保育園児の命を何としてでも自分たちの手で守ろうとする「生気湧出の士団」でございます。 誠にあっぱれと言う他ありません。

 

さて、皆様方のご支援の賜により、当院の病院新築事業も着工後既に1年3ヵ月が経過し、本年12月が竣工予定ですが、東日本大災害級の地震にも十分耐えられる地下1階・地上14階の 高層100年建築に向かって、順調に工事が進んでいるところでございます。これからの最新高度医療が行える病院建築であることは当然ですが、さらに、ワクワクするような八代の新しい 街創り計画のランドマークになって、皆様方のお役に少しでも立てますよう、これからも鋭意努力して参ります。

 

今年度も、皆様方の倍旧のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成24年4月



 

2012.7

-正しい批判力を持つ国民が一肌ずつ脱いだら-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年夏号 病院長挨拶より〜

 

2012.4

-金太郎飴とガス抜き-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年春号 病院長挨拶より〜

 

2012.1

-成果は1%-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2012年新年号 病院長挨拶より〜