病院長挨拶

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-兎、龍、蛇、そして100年後へ-
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 創刊号 病院長挨拶より〜

 謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 

 年頭に当たりまして、先ず、当院の新病院完成と、新年からの「熊本総合病院」への名称変更、をご報告申し上げます。これらの成就はすべて皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。そして、職員一同もさらにモチベーションを上げております。

 

 皆さま方もご承知の通り、当院は6年前には、熊本県の潰れる病院ナンバーワンでございましたが、本当に皆さま方のご支援のお陰で短期間のうちに再生し、社会保険病院群でもトップクラスの安定的な経営が出来るようになり、白百合高校移転により、奇跡的にも近接する中心市街の土地を取得致しました。その後は、設計で七転八倒・悶絶し苦悩致しましたが、やっと、2年前の兎年、新築事業が厚労省に認可され着工致しました。様々な関係各位にご支援を賜りながら、右往左往飛び跳ねた年でした。私も消化器がんを専門とする外科医ですので人体の土木作業員のようなものですが、清水建設に決定してからは順調で、龍のような2台のタワークレーンが巨大な鉄骨で高層階を創り上げました。それは正に、龍年でした。そして、ついに、この平成25年1月に竣工致します。

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 医の神様は、以前もご紹介いたしましたように、オリンポス12神の子であるアスクレピオスでございます。半人半馬のケイローンに育てられましたが、医術におきましては、師匠を凌ぎ、死者をも生き返らせることが出来るようになりました。そのことがゼウスの怒りを買い、天に召し上げられて、「へびつかい座」となり、医の神様として神の一員に加えられました。その杖にヘビの巻きついたモチーフは「アスクレピオスの杖」(蛇杖)と呼ばれ、医の象徴としてWHOをはじめとして世界的に用いられています。わたくし共も、新「熊本総合病院」のロゴマークに、その蛇杖をデザイン化しております。

 私は、工事着工の時に、「竣工の時には、蛇杖を携えたアスクレピオスが降臨されるでしょう」と予言致しました。竣工なった今、間違いなく、アスクレピオスは蛇使い座から「熊本総合病院」に舞い降りられました。そしてエントランスホールで皆さまを迎えられておられますので、是非、心眼でお会いになってみて下さい。そして、何という偶然か、降臨されましたのはこの新年、正に蛇年でございまして、これから永遠に「熊本総合病院の患者さんと全職員、さらには住民の皆さん」を見守られ続けます。

 

 司馬遼太郎は、「豊臣秀吉の卓越性」について、「西欧社会には大土木を起こすという思想があるが、農業社会日本にはその伝統がない。ところが、豊臣秀吉は、その日本から隔絶して出発した」と語っています。わたくし共の新病院事業は、小土木ではございますが、100年先の街創りを見据えております。新病院は50年後ぐらいに、その時は、わたくし自身は当然のことですが失礼ながら皆さま方の多くも鬼籍に入っておられることと思いますが、やっとそれらしい輝きを放ちはじめると思います。そして、恐らく八代の都市計画が順調に推進されていることでしょう。 小欄で紹介したことのあるフラハティー先生は「日本贔屓」であられますが、思いもよらず、あの未熟で偏狭な中国に、短期間ですが教育に出向かれております。最近のメールでも「build that “Brave New World (Japan)”」といつもわたくし共へ心温まるエールを頂いております。早く帰国され、中国ではなく、熊本のため日本のために、また「一肌脱いで」ご支援頂きたいものです。

 

 わたくし共の熊本総合病院は、名称は変わりましても、「医療を通じて、公に一肌脱ぐ」がモットーでございます。しかし、「公に貢献するという価値観」は、毎日毎日磨かなければ直ぐに錆びついてしまいます。これからも、「自分自身がかかりたい質の高い医療を実践する」に加えて「新しい街創り」を、全職員が一丸となってさらに推進して参りますので、本年も、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成25年蛇年 1月



 

2013.10

-「倍返し」と「泣き寝入り」-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 秋号 病院長挨拶より〜

 

2013.7

-粋な理念-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 夏号 病院長挨拶より〜

 

2013.3

-天才の心意気-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 春号 病院長挨拶より〜

 

2013.1

-兎、龍、蛇、そして100年後へ-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 創刊号 病院長挨拶より〜