病院長挨拶

  • 2019_

-「倍返し」と「泣き寝入り」-
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 秋号 病院長挨拶より〜

 新病院をオープン致しまして8か月が経ちましたが、熊本総合病院は、医師会の先生方との実りある地域医療機能分担を図るため、外来患者さんの減少に努め、一方、医師会の先生方の患者さんご紹介により稼働率は横ばいですが在院日数の減少、と、質の高い地域医療の向上に邁進致しております。そして、皆さま方のご支援のお陰で、順調に高度急性期医療を行うのみならず、建物による美しい街創りならびに基本的に無料の駐車場をはじめと致しましても地域の活性化に貢献することが出来ており、感謝申し上げております。

 

 日本は3・11東日本大震災を経て、ずーっと暗い話題に鬱積していましたが、先月、何と2020年東京オリンピック開催が決定し、何かしらウキウキした気分になっています。また、巷では、「半沢直樹」が大好評のうちに最終回となり、関東も関西地区でも視聴率は40%越えだったそうで、平成ドラマのトップの高視聴率と報じられています。そして、その「半沢直樹」のキャッチフレーズは「やられたら倍返し」で、視聴者は自分自身ではできないことをやってくれる爽快感に胸がすく思いであろうかと思います。

 

 ところで、「倍返し」の対義語は、「泣き寝入り」でしょうか? 「泣き寝入り」とは、「相手の不当な仕打ちを不満に思いながら,どうすることもできずに諦めること」ですが、敗戦後、日本はアメリカに占領され、「日本弱体化計画」(アメリカによる憲法制定、皇室改革、財閥解体、農地解放、教育制度改革、家族解体、伝統文化の否定、祖先の敬慕の否定)というアングロサクソンお決まりの植民地政策にやられてしまって、「何をされても、ひたすら我慢し諦める。相手を刺激しない」という誤った態度が「日本国内だけで通用する“大人のふるまい”」いとして一般化しました。そして、国は、アメリカ、中国、ロシアなどの大国の暴挙に、まさに「泣き寝入り」ですから、国民の鬱積も既に麻痺し、他国からもプライドさえない日本国と揶揄されるようになりました。

 ところが、安倍首相は、先のアメリカ外遊で「Japan is back」「Buy my Abenomics」などと、前回の失敗に終わった首相としての経験を生かし、小気味良い強い日本の発信をしており、本当に嬉しく思います。わたくしもアメリカで働いていた時に、“大人のふるまい”としては日本では受け入れられないであろうぎりぎりの喧嘩をアメリカ人と何度もしながらも、逆に当たり前のように受け入れられ、結構昇進させてくれました。皆さんもご承知の通り、アメリカでは、「物言わぬ人は、低能か警戒すべき人間」です。わたくしはアメリカに行く前からそのように思っていましたから、その時も今でも日本では嫌われっぱなしです。

 

 さておき、「半沢直樹の倍返し」は、その爽快感にとても胸がすく思いですが、結局、最終回では「出向」が待っていました。わたくしも単に「やられたら倍返し」ということに拘るよこしまなこころから出た行動は、結局、必ず哀れな「手痛いしっぺ返し」という末路を辿ることを経験しております。しかしながら、「公に一肌脱ぐ」という私心のない理念から端を発する大義名分の遂行は、一部の横暴で傍若無人な嫌がらせに走る輩に対して、結果的に、「あれ、いつの間にか、倍返し、しちまったぜ」となることが往々にしてある、ということは間違いありません。

 

 今後とも、当院は「自分自身がかかりたい質の高い医療を実践する」に加えて「美しい街創り」に向かって参りますので、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成25年10月吉日



 

2013.10

-「倍返し」と「泣き寝入り」-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 秋号 病院長挨拶より〜

 

2013.7

-粋な理念-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 夏号 病院長挨拶より〜

 

2013.3

-天才の心意気-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 春号 病院長挨拶より〜

 

2013.1

-兎、龍、蛇、そして100年後へ-

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2013年 創刊号 病院長挨拶より〜