「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 熊本総合病院」がスタートし、丁度2年が経過いたしました。先々月には記念すべき第1回JCHO学会も開催され、当院からも全国最多の20題の発表を行い活躍しました。全職員はJCHOというブランドの下、さらに質の高い医療の実践をしながら、JCHOの使命である「地域医療のみならず地域包括ケアの推進」に向かって大いに公に貢献するように努力しておりますが、すべては、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。
ところで、このJCHO学会は全国57のJCHOグループ病院から1800名以上の参加があり大変な盛会となりましたが、会場は本機構本部のある品川で、いつもラッシュアワーに限らず電車も構内も店舗も駅前の横断歩道も人人で溢れかえっています。統計上も東京をはじめとする大都市での人口増加は続いていますので、大都会に住む人達は超高齢化社会に対するほど地方都市の人口減少に気付かず、全然危機感を感じていないようです。
ところが、平成27年の国勢調査を受けて、最近の新聞紙上で「日本消滅の危機」の大見出しが躍りました。それによりますと、現在の日本の人口は1億2711万人ですが、過去5年で約100万人減少しており、このまま加速的に推移すれば、西暦2100年には、何と、江戸時代の徳川8代将軍吉宗の頃の人口の3700万人、200年後には1400万人、300年後には450万人となって、まさに「日本が消えてなくなる過程に入った」そうです。
また、環境省第4次レッドリスト(絶滅危惧種)の動物分野によれば、絶滅44、野生絶滅2、絶滅危惧1171種となっており、私が幼いころそこいらにウヨウヨいた生物が既に絶滅危惧種になっており、あっという間に種は絶えていくのだということを実感します。そして、絶えた種は二度と戻ることはありません。
我々日本人種について、東アジアの人々と外見は似ているがDNAはかなり違うことが分かってきました。最近の国立遺伝学研究所や国立科学博物館のDNA解析でも、日本人の遺伝子は周辺諸国(東アジアや朝鮮半島)とは異なっており、縄文人のDNA遺伝子が我々にも受け継がれているそうです。そして、Y染色体の研究で、世界中には古い順にA~Tまで20のグループがありますが、何と、現代の日本人の3分の1はその古いDというグループに属しており、そこに縄文人が属しているということが分かってきています。世界中でDを持つ他の人種はチベット族とインド洋に浮かぶアンダマン諸島の人種だそうで、矢張り、性格的に優しいDが隔絶された山間部や日本列島にそれぞれの特有の文化を育てながら残ったことが推測されます。
そもそも、何故、日本が情けない程の少子化なのか? その一番の原因は、日本の若い人たちの『「蔓延した閉塞感」と「将来に対する得も知れぬ不安感」』によるものではないかと思います。今こそ、よい大人は少しでも「国や自治体に貢献しようとする意欲と覚悟」を持って、子孫にとって恥ずかしい先祖となり果てないように、こんなに自然環境が素晴らしい地方都市が外国人のまちと化さないように、鋭意、貢献する義務があります。
今年度も引き続き、わたくし共の熊本総合病院は全職員が一丸となって、「医療と共に、公に一肌脱ぎ」ながらJCHOの一員として地方創世に貢献できるように、さらに精進して参ります。本年度も、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。
平成28年4月
2016.10
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2016年 秋号 病院長挨拶より〜
2016.7
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2016年 夏号 病院長挨拶より〜
2016.4
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2016年 新年度号 病院長挨拶より〜
2016.1
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2016年 新年号 病院長挨拶より〜