病院長挨拶

  • 2019_
私、失敗しないので
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 新年号 病院長挨拶より〜

 

 謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 年頭に当たりまして、先ず、「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 熊本総合病院」として、引き続き、わたくし共は一丸となって、さらに質の高い医療の実践を行ないながら、JCHOの使命である「地域医療・地域包括ケアの推進」を含めて大いに公に貢献するように努力いたしておりますことをご報告申し上げますと共に、すべては、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。

 

 昨年は、想像だにしなかった熊本大地震を経験し、私が大事にしていたものも含めて沢山の熊本県民が大切なものを失いましたが、「人間は誰もが一生に1度や2度は思いがけない災害や不運に見舞われる。従って、むしろ人間には心の傷は忘れて将来に向かって再出発する義務もある」との言葉のように、少しずつ復旧してきたようですが、惨事を逆手に取った「Brave New Kumamoto World」の方向には殆ど進んでいないことは残念でなりません。例えば、壊滅状態となった県民の誇りである熊本城も、私も「復興城主」として一肌脱ぎましたが寄付が沢山集まっております。そこでこの先、バルセロナのサクラダファミリアではありませんが、鉄筋コンクリートでの復旧などは止めて、100年位かけるつもりで少しずつ少しずつ、その過程も観光資源としながら、加藤清正の創建当時は60以上もあった櫓を含めて創建当時のように天守閣などを現代の宮大工さんなどの洗練された技術をもって材木で造り直したら、熊本県民どころか日本国民の意気も上がり、寄付も観光客もうなぎのぼりになるんじゃないかと思います。そして必ず、将来の熊本各地における新しい復興まちづくりの「成功」に繋がると確信いたします。

 

 ところで、「成功」ではありませんが、「私、失敗しないので」の決まり文句でお馴染みとなっている医療ドラマ「ドクターX」が大好評らしいのです。群れを嫌う一匹狼のフリーランス女医が、白い巨塔ばりの帝大病院の中において、「現実離れしたシチュエーション」で華麗に手術を成功させる訳ですが、その手法は、「水戸黄門」と同じように、マンネリ化しているものの安心感があり、必ず、視聴者自身ではできないことをやってくれる爽快感に、胸がすく思いであろうかと思います。

 

 さておき、「成功」の反対は、本当に「失敗」でしょうか? 私は、これまでに大変な失敗を懲りずに繰り返してきましたが、死に向かって一直線、まだ、元気です。医学研究でも数々の失敗を繰り返し、その成果は1%位しかありませんが、その失敗から得たものは量ることの出来ない経験として貴重なものであり、次を担う後輩へのアドバイスや成果にも繋がっているような気がいたします。そういたしますと、「成功」の反対は「失敗」ではなくて、「何もしないこと」ではないでしょうか。以前、「失敗の多い人ほど、仕事を楽しんでいる」という話を聞いたことがあります。また、「失敗」や「リスク」を恐れ怖がって「何もしない社会」は「挙げ足取りの社会」であり、日本の未来に対してこの上ない閉塞感を伴う何の希望も持てない社会です。そして誤解を招くことは本意ではございませんが、大災害後の「復旧」は、伝統・文化や本物の文化財を除いて、「何もしないこと」ではないものの、「何もしないこと」に等しい「復興の絶好のチャンスを失うこと」に繋がりかねないと危惧いたします。

 

 

 何はともあれ、わたくし共の熊本総合病院は、本年も引き続き全職員が一丸となって、「医療と共に、公に一肌脱ぎ」ながらJCHOの一員として地方復興・創生に貢献できるように、さらに精進して参ります。本年も、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げますとともに、皆さま方のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 

平成29年1月



 

2017.10

栄光の架け橋

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 秋号 病院長挨拶より〜

 

2017.7

病院のディズニーランド化

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 夏号 病院長挨拶より〜

 

2017.4

竜宮小僧

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 新年度号 病院長挨拶より〜

 

2017.1

私、失敗しないので

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 新年号 病院長挨拶より〜