病院長挨拶

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就任から1年を振り返って

—八代地域医療に貢献する当院の使命と機能—
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 秋号 病院長挨拶より〜

  崩壊寸前だった満身創痍の健康保険八代総合病院をお預かり致し、丁度1年を経過しましたが、もう4,5年も居たかのように、くたくたぼろぼろです。昨年10月2日上京し挨拶をすると「八代総合病院の累積赤字と経営不振の現状は全国社会保険病院の全体の足を引っ張っている」との厳しい指摘を受け、当院に帰って病院長就任式で再生への意気込んだ挨拶を終えてみると、熊本に自宅はほっぽり出して八代に腰を落ち着けようとしているのに宿舎の準備すらできておらず、仕方なく八代駅までタクシーに乗ると運転手が患者さんあるいは薬屋さんと勘違いして「お客さん、こん総合病院はもう潰れることは知っとんなはるですか?」「もう売りに出とるそうですよ。」「なんか、トクス会ちゅうとこが買うて聞いとりますばい。」どの場合もこの場合も、どっから見ても病院長らしくないでしょうから仕方ありません。しかし、当院の優秀な医師団を中心として全職員が質の高いチーム医療を情熱をもって実践した努力と熊本大学教授陣、八代市郡医師会、八代市行政ならびに地域住民の皆さんのご支援によって、病院崩壊の危機をすんでのところで回避することができました。そして、この1年間、当院の基本方針である「自分自身がかかりたいような新しい総合病院に」という医療の正道を全職員が確実に突き進んできた結果、質の高い医療を実践しながら、病院経営の方も安定し、何と今や、膨大だった累積赤字を早期にも解消する勢いでございます。本当に当院をご支援して頂いている全ての皆さまのお陰といつも心から感謝申し上げております。

 当院の使命と機能は、公的病院として「最新の質の高い急性期医療で八代地域住民の病気の不安を解消する」ことであり、当然のことながら「お金を儲けること」ではございません。しかしながら、累積赤字を解消し黒字を継続していかなければ、当院の理念である「患者さんに満足される最新の医療」を実践することはできません。何故なら、患者さんに満足される質の高い最新の医療の実践のためには、継続的な質の高い最新の医療器械の導入・更新が不可欠だからです。質の高い最新の医療器械の導入におきましては本当にお金がかかります。さらに、高額な最新式の医療器械を導入した後でも、これを保守し維持していくには信じられないくらいのお金がさらに毎月毎年かかります。しかし、当院におきましては、皆さまのお陰で昨年から継続して黒字が出て参りましたので、早速、質の高い最新の医療の実践のために、県下でも数台しか導入されていない最新式の64列ヘリカルCT、最新・最速の血液分析装置2台、心臓を養う血管まで観察できる最高画質の超音波診断装置、最新の人工呼吸器3台、腹腔鏡手術のための最新手術器械、などを積極的に購入致しております。そして、これらの最新式医療器械を駆使し、優秀な医師主導型の質の高いチーム医療を実践しているその結果、患者さんからの評判は日に日に高まり、とても満足して頂いております。また、次年度には、既に、県南では唯一・最高・最新式の新しいMRI装置への更新や、2台目のさらに最新式の治療用超音波装置などを購入する手筈となっております。また、古い建物を整備改修しながら、できるだけ早期に病院新築に向かってその計画も進行中でございます。従いまして、医師主導型の質の高い最新のチーム医療を行いながら、患者さんにさらに最新の医療を提供するために、医療用器械面におきましても、当院は県南で最高の設備を有する熊本県有数の優良病院に生まれ変わってきております。

 このように当院は「職員自身がかかりたい新しい八代総合病院」に向かって着実に進んでいるところです。しかしながら、前回も述べました通り、常勤医師不在の診療科はまだ複数あり、質の高い医療は提供させて頂いておりますものの、そのために、公的総合病院としての役割を地域住民の皆さんに全く果たしておりません。私は、高い見識をお持ちの行政ならびに熊本大学が主体となって、地域住民の医療のために貢献する公的病院としての急性期病院群を指導し、必要によっては貢献しない急性期病院群にペナルティーを課してでも、早急に、地域医療に最適で効果的な医師の実力が発揮できる医師配置をしていくことが、医師不足解消の最も有効な解決策ではないでしょうか。

 この1年間、このような不肖の私にご厚情とご指導を賜り誠に有難うございました。また、この八代総合病院にこの上ないご支援を賜り誠に有難うございました。心からお礼を申し上げます。前述致しましたように、当院の使命と機能は、公的急性期病院として「患者さんが満足される質の高い最新の医療」を情熱を持って実践するという医療の根源以外にはございません。このことをいつも肝に銘じて邁進致しますので、皆様方の倍旧のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

平成19年11月

2007.11

就任から1年を振り返って

—八代地域医療に貢献する当院の使命と機能—

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 秋号 病院長挨拶より〜

2007.4

ご期待にお応えする「真の総合病院」への道を一歩一歩

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 春号 病院長挨拶より〜

2007.1

「真の新しい総合病院」に向かって

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 新年号 病院長挨拶より〜