病院長挨拶

  • 2019_
—再スタートに感謝し、きちんとした目と耳と鼻と口を穿つ—
〜八代総合病院だより 『すこやか』 2008年新年度号 新年度のご挨拶より〜

  当院は、巨額の累積赤字を抱えた上に、医師不足に伴う診療科ならびに病棟の閉鎖・患者数の激減によりまして、病院崩壊の危機に直面し、大変なご心配をおかけ致しました。しかしながら、4月3日の熊日新聞の報道の通り、平成18年10月病院長就任後短期間でこの累積赤字を解消することが出来ましたことは、医師会の先生方、熊本大学教授陣、行政ならびに地域の皆様方のこの上ないご支援の賜でございます。有り難くも、当院が思いの外早く再スタート地点に立たせて頂きましたことに、職員一同、心より感謝申し上げます。

 ところで、最近も中国は傍若無人なようで、食品に農薬混入の問題、天然ガス田の問題、チベットの人権問題など、本当にオリンピックが出来る国か甚だ疑問です。それで、あまり中国の話はしたくないのですが、高校の漢文に、「混沌」の話が出てきます。欧米では「カオス」です。昔、中国の北に「こつ」という帝、南に「しゅく」という帝、そして中央に「混沌」という帝がいて、「混沌」のところで会いました。ところが、「混沌」さんには、目も耳も鼻も口もありません。のっぺらぼうです。そこで、可哀想に思った2人の帝が、酔いも手伝ってか勝手に目と耳と鼻と口を穿ってやったそうです。そうしましたら、何と、「混沌」さんは、死んでしまいました。成る程、この世の中には、のっぺらぼうの方が自然でよいものと、付ける時にはきちっと目耳鼻口が付けなければ全く機能しないものとがあるかと思います。病院の場合は、間違いなく後者で、きちんとした在るべきところに、輝く目耳鼻口が付いていなければなりません。ところが、この目耳鼻口が無秩序に穿たれれば、「混沌」のように死んでしまいます。

 以前から申し上げております通り、当院の使命は、公的病院として「最新の質の高い急性期医療で地域住民の病気の不安を解消すること」すなわち、「自分自身がかかりたい総合病院にすること」でございます。そこで、以下の2項目を重点的に行いながら、熊本一の目耳鼻口を、皆様のご指導を受け職員一丸となって、この再スタートで穿っていきたいと思っております。

 第一点目は、素晴らしい人材の獲得と整備でございます。新年度から当院は、有り難いことに6名もの医師増員となり、特に消化器内科は、熊本大学大学院消化器内科学 佐々木 裕教授のご高配により、一挙4名もの優秀な医師を1人は副院長としてご派遣頂き、当院の大きな課題であった消化器内科の拡充をお図り頂きました。まさに、八代総合病院 新生消化器内科の誕生となりました。佐々木内科の第1号店としてのプライドを持って、この新生消化器内科が県南の雄として活躍できるように最大の支援をして参ります。また、血液内科学 満屋裕明教授には、当院に総合診療内科の新設をご高配頂き、当院の内科は以前とは見違える程、盤石なものとなって参りました。さらに、消化器外科学 馬場秀夫教授ならびに放射線診断学 山下康行教授には、1名ずつの医師増員を賜りました。本当に、熊本大学大学院教授陣の先生方におかれましては、県南における急性期基幹病院としての当院の重要な役割と実績をご理解の上、実力溢れる医師をご派遣頂き、この上なく感謝申し上げております。当院も、熊本大学大学院の各教室に少しでもお役に立てるように最大の努力をして参るつもりでございます。

 二番目は、誠に高額ではございますが、継続的に質の高い最新の医療器械の導入・更新を積極的に行って参ります。既に、県下でも数台しか導入されていない64列ヘリカルCT、最新・最速の血液分析装置、心臓を養う血管まで観察できる最高画質の超音波診断装置、最新の人工呼吸器、腹腔鏡手術のための最新手術器械、などを積極的に購入致しておりますが、さらに今年度は4月に、県南では唯一・最高・最新式の新しいMRI装置への更新を行いました。そして、さらに最新式の治療用超音波装置などを購入する手筈となっております。そして、これらの最新式医療器械を駆使し、優秀な医師主導型の質の高いチーム医療を実践しながら、「自分自身がかかりたい質の高い病院」にして参ります。また、古い建物を整備しながら、できるだけ早期に病院新築に向かってその計画も進行中でございます。従いまして、素晴らしい人材を獲得し「医師主導型の質の高いチーム医療」を行いながら、患者さんにさらに最新の医療を提供するために、医療用器械面におきましても、当院は県南で「最高の設備を有する熊本県有数の優良病院」にほぼ生まれ変わったと考えております。

 これまでの再生は、全職員の努力もございますが、熊本大学大学院の教授陣、医師会の先生方、八代市行政ならびに地域住民の皆さんのお陰と本当に感謝しております。今後、地域からの要望が非常に強い小児科の再開をはじめとした複数のマイナー診療科における常勤医による診療体制を築く努力を重ねながら、さらなる「質の高い最新の医療」を、きちんとした輝く目耳鼻口を穿ちながら、鋭意実践して参りますので、倍旧のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

平成20年4月


 
2008.10

−「文化」とは「一肌脱ぐこと」とみつけたり−

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2008年秋号 病院長挨拶より〜

 

2008.4

—再スタートに感謝し、きちんとした目と耳と鼻と口を穿つ—

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2008年新年度号 新年度のご挨拶より〜