病院長挨拶

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八代総合病院を「自分自身がかかりたい良い病院」に
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2006年 秋号 病院長挨拶より〜

 この度の前院長の悲報に伴い、突然、全国社会保険協会連合会(全社連)の伊藤雅治理事長のご指名で、この満身創痍の八代総合病院をこの10月からお預かりさせて頂くことになりました。その就任の条件は、はっきり申しますと、1.全社連に全面的にバックアップして頂くこと、と、2.全面的な院長裁量、です。

 以前私は、平成13年から2年間、ここの外科部長として診療をさせて頂きました。その時、病院は成長し、大幅な黒字に転化致しました。しかし、何ら評価(インセンティブ)はなく、その後、私は大学の消化器外科を経て熊本市民病院に勤務し、もう、戻ってくることは無いと思っておりました。また、私の出身は八代の植柳で、母も84才となりましたが、戻ることには大反対でした。多くの人からも止められました。しかし、一方では、「私たちもお手伝いします」との声が実際この病院から多数あがり、そういう声があるなら、私も一肌も二肌も脱ごうと決心致しました。そして、決心したからにはこの病院を再生どころか熊本有数の優良病院にしたいと決意しております。

 現在、この病院の問題点は山積しております。私は、ずっと以前より、病院の顔は医師であると信じてきました。それは、実際自分が患者になった場合を考えてみれば明白です。医師は、患者さんが満足される医療を目指して、その患者さんが満足される顔を見たいために、終わることのない苦しい修行を続け、いつも誰よりも重大な責任を背負い、常に最新の高度医療を実践しなければなりません。間違いなく、患者さんはそのような医師にかかりたい筈です。従って、病院はそのような良い医師を大切にしなければなりません。しかし、医師だけでは患者さんの満足を得ることは絶対に出来ません。看護部、医療技術部ならびに事務部のプロの仕事と協力と強力なチームワークが必須です。病院長はそのことも十分評価しなければなりません。そして初めて、患者さんの医療に対する満足が得られます。そして、支えてくれるみんなに医師は常に感謝しなければならないと思います。

 私は、多数の診療科の閉鎖をはじめとした当病院における山積した問題点の根元は上記の原因によることが極めて大きいと考えます。従って、根元の解決策は意外と簡単なのではないかと思っております。しかし、具体的な問題点、すなわち医師がここを捨てざるを得ない状況を病院自体が作り、従って不良病院として噂されており、不幸にも時代は医師不足の真っ直中で、医師が戻ることに多大な時間と労力が必要なことは間違いありません。明るい材料は、今ここにおられる医師団、看護部、医療技術部ならびに事務部の質の高さです。特に、がん治療部、腎センター、糖センター、血液疾患治療部、循環器治療部、消化器診断・治療部、外科部、放射線診断・治療部、眼科、などが常に最新の高度医療を実践し、実際、患者さんに十分に満足されております。当病院は、現在稼働している診療科全てが「わたくし病院長自身がかかりたい病院」です。そのことは、この10月からたった1ヶ月も経たないうちに、もう既に八代総合病院はほぼ満床になっていることが如実に示しております。

 従いまして、皆様方のプロの仕事と努力とチームワークの賜で、八代総合病院はもう既に初期の目標を達成致しました。しかし、私共、八代総合病院全職員の次の目標は、八代総合病院が総合病院として再生することです。これには先程の理由で、時間がかかります。従いまして、しばらくの間は、八代総合病院は、現在の診療科で患者さんにこのように質の高い医療を提供し満足されていることを世に示しましょう。わたくしも、これまでのわたくしの全てを傾注し、第2の目標である八代総合病院が総合病院として再生することに全力を尽くします。

平成18年11月

 

2006.11

八代総合病院を「自分自身がかかりたい良い病院」に

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2006年 秋号 病院長挨拶より〜