病院長挨拶

  • 2019_1
  • 2019_1
  • 2019_1
  • 2007_1


1964東京オリンピック2つのレガシー
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 夏号 病院長挨拶より〜
2021summer
  暑中お見舞い申し上げます。
 
  残念なことに、2019年後期に中国武漢より発生した新型コロナウイルスは変異を続け、ワクチン接種は進みつつありますが、今だに世界をパンデミックに陥れています。このようなことになろうとは世界の誰もが夢にも思わなかったことでしょう。

  ところで、2013年IOCのロゲ会長が「2020年夏季五輪開催地を『東京』と発表」した時は、その場に居合わせた安倍首相を始めとする五輪招致団は勿論の事、日本全国がお祭り騒ぎとなり、私も1964年の時のようにオリンピックによって喚起された活力が日本全体にみなぎることを予感し、今の「充満した閉塞感・未来への不安感」の払拭に光明がさしたような気持ちになりました。
  ところが、この憎き新型コロナによって、2020年夏季五輪は今年に延期となり、延期されたこの7月にも新型コロナが東京に蔓延しており、勿論、当初期待したような夏季東京オリンピック開催は無理となってしまいました。そして、何とか開催に漕ぎ着けましたものの、観客は海外受け入れ見送り・国内特に東京は無観客が決定し本当に寂しいばかりですが、「何とかコロナに打ち勝った東京オリンピック」を世界に誇示して貰いたく思います。

  ところで、1964東京オリンピックは、忘れもしない私が小学生4年生の時の開催で、八代の町を聖火が通っただけで歓喜し大盛りあがりでした。田舎はまだ、テレビを2台も持っている一般家庭などなく、大裕福だったり広く商売をしている家から借りて、小学校の数クラスに1台ずつ設置され、期間中の授業は全てオリンピック観戦だったと記憶しています。
  そして、古関裕而作曲のオリンピックマーチに乗って各国選手団の入場、まだお元気だった昭和天皇の開会宣言の後、日本晴れをバックにブルーインパルスによって描かれた初成功なのにとても美しかった大五輪マーク、体操・柔道・レスリング・女子バレー・重量挙げ・マラソンなど金メダル16個を含む29個のメダルを獲得し、日本は「敗戦後の暗澹たるムードを跳ね返し」て日本中が沸き返りました。また、選手村では各国女性にキモノを着せておもてなしするなど、オリンピックは誠に素晴らしいものだと子供心に感動いたしました。

  そして、1964東京オリンピックはスポーツ部門以外でも世界に冠たる日本の実力を見せつけました。それは特に、現在でも活躍している「代々木体育館」と「新幹線」の2つのレガシーだと思います。
  先ず、「代々木体育館」は丹下健三の設計ですが、2つの建物がセットで、前回の五輪では第1体育館が水泳・第2体育館がバスケットボールの会場となりました。第1体育館は2本の巨大な柱だけで支える吊り屋根式ですから中に柱がない上に、何と言っても素晴らしいのはその2つのセットとなった外観のシェイプです。到底、世界中の常人には思いつかない建物全体が緩やかなカーブを描く独創的な螺旋状の天に繋がるデザインで、私は、正に世界に誇る最も新しい国宝として加えるべきレガシーと思います。
  「東海道新幹線」は、当時の国鉄総裁で「新幹線の父」と呼ばれる十河信二が主となった「弾丸列車計画」で、様々な信じられない困難を克服して、何と1964東京五輪開催の10日前に開業しました。総工費は国家予算の1割にも相当する当時の3800億円(世界銀行から8000万ドル借金)であったため、「ピラミッド、万里の長城、戦艦大和に次ぐ、無用の長物」と世間から揶揄されたことは有名ですが、このプロジェクトを推進し核となった人々の類まれな先見性ととんでもない情熱によって五輪直前に完成させ、その後の日本の奇跡の急成長を導きました。従って、今回の五輪を契機に、「一連の新幹線の全てのレガシー」を「代々木体育館」とともに国宝とするべきと思います。

  ご案内の通り、当院は引き続き一丸となって、「医療とまちづくりは車の両輪」を合言葉に、熊本のレガシー建築を目指して、9月から大規模増築に着工いたします。そして、さらに質の高い医療の実践を行い、大いに公に貢献できるように努力して参ります。これら全ては、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政並びに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げます。

  盛夏の折、皆さま方の益々のご健勝を心よりお祈り申し上げ、今後とも、さらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。



令和3年7月 来週からの東京オリンピックを前に


 
2021.1

「天は自ら助くる者を助く」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 新年号 病院長挨拶より〜


 
2021.5

「止むに止まれぬ偉大な魂」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 春号 病院長挨拶より〜


 
2021.7

「1964東京オリンピック2つのレガシー」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 夏号 病院長挨拶より〜