病院長挨拶

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コロナよりやばいPM2.5
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2026年 春号 病院長挨拶より〜


ロシアのウクライナ侵攻は大変なことだと思っておりましたら、本年2月末に今度はイラン・米国イスラエル戦争が勃発し、ホルムズ海峡も封鎖され、日本は燃料高・原油不足・物流高・食品高の複合ショックの状態となっております。誠に、日本の将来に不安ばかりの新年度となっておりますが、皆様方におかれましてはご清祥のことと拝察申し上げます。

当院は今年度も、皆様方のご支援の下、一丸となってさらに質の高い急性期医療の実践を行ないながら、「まちづくり」にも貢献するように最大限の努力をしております。そして、このように努力できますことは、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。

ところで、新年度を迎える直前の3月末、熊本から八代に向かっておりましたら、何とたった100mまでも視界不良となっており尋常の春霞ではないので、何事かとゾッとしました。直ぐに調査を致してみましたら、黄砂や花粉ではなく、その正体はPM2.5ということが判明致しました。その時の、PM2.5の分布が(図1:ヨーロッパ中期予報センター ECMWF)でございます。

御存知のとおり、PM2.5は大きさわずか2.5μで髪の毛の太さの約30分の1以下の粒子ですから、肺の奥深くまで吸い込まれ肺細胞内のDNAを傷つけ、肺がんの原因となります。日本経済新聞によると、かのチャイナでは、もう20年以上も前から重度のPM2.5による大気汚染が問題視され、その正体はチャイナに多く残る石炭火力発電所から出る硫黄酸化物の排ガスだそうで、北京では体調を崩した子供が大勢病院に詰めかけたとのことです。
さらに驚いたことに、2024年8月のナショナル・ジオグラフィック誌の「PM2.5などで肺がんが世界で増加、台湾では患者の3分の2が非喫煙者」というニュースは衝撃的でした。図1のとおり、台湾はチャイナのすぐ東に位置して、PM2.5が直に飛来していると報じています。また、記事の中で、「日本女性の肺がんのうち、何と75.1%が非喫煙者である」との報告も紹介されていました。

一方、日本における大気汚染事案は、よくご存知の4大公害病の1つである1950年代末から1970年代にかけて問題化した四日市喘息ですが、現在、日本の大気汚染は格段に改善され、PM2.5の全国環境基準達成率は約98〜100%と高い水準となっているそうです。

このように、日本国がどんなに大気汚染対策に一生懸命になっても、お隣のチャイナからこの様な濃厚なPM2.5が押し寄せれば、日本の努力は水疱に帰す訳で大問題ですが、今、どこのメディアも政府も政治家も学会までもがだんまりを決め込んでおり、誠に遺憾です。本当に残念なことに、犠牲になるのはいつも無垢な日本国民です。
 
 さておき、わたくし共の熊本総合病院は、本年度も引き続き全職員が一丸となって、「医療とともに、公に一肌脱ぎ」ながら「医療のみならずまちづくりにも貢献する」意気込みで、地方創生・人口増加・少子化阻止にも少しでも寄与できるように、さらに精進して参ります。本年度も、皆さま方の格別のご支援を何卒宜しくお願い申し上げますとともに、皆さま方のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。










令和8年 4月吉日

2026.4

「コロナよりやばいPM2.5」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2026年 春号 病院長挨拶より〜

2026.1

「ホモは弱くヘテロは強い」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2026年 新年号 病院長挨拶より〜


島田 信也

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)
熊本総合病院 病院長
JCHO学会院長部会 会長



略歴

1980年 熊本大学医学部卒業、熊本大学第二外科入局
1986年 熊本大学大学院卒業(医学博士)
1988年 アメリカNIH国立癌研究所主任研究員(~1992年)
1993年 熊本大学第二外科助教
2003年 熊本大学大学院消化器外科 講師
2005年 熊本市立熊本市民病院 外科部長
2006年10月から現職
2007年 熊本大学臨床教授兼任
2017年~2024年3月 JCHO九州地区担当理事
2022年 JCHO学会院長部会会長兼任
2024年4月~2025年3月 JCHO理事長特任補佐兼任