病院長挨拶

  • 2019_
-美しいものが真実であり脈々と続く-
〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年夏号 病院長挨拶より〜

 この度、国会議員の先生方をはじめとするご尽力によりまして、難産でございました「独立行政法人 地域医療機能推進機構法案」が国会にて成立し、今後、当院を含む全国の社会保険病院が新たな公設として出発出来ますことを、皆さまにご報告し、ご尽力いただきました各方面、特に県出の国会議員の先生方に心から感謝申し上げる次第でございます。誠に有難うございました。

また、皆さま方のご支援のお陰によりまして、八代総合病院の新築事業も順調に進んでおります。市民の皆さまから「新病院はまだ地上に見えて来んですねー、本当に来年12月に出来っとですか」とご心配を頂いていますが、現在、東日本大震災級の地震にも耐えられるように6か月にも及んだ丁寧な地下基盤工事を終え、順調に地下1階部分の工事を進めているところでございますのでどうかご安心ください。

 

これまで新病院の地下掘削を終えるまで、大量の土砂を現場からダンプカーで搬出した訳ですが、工事現場前も含めてそのダンプカーが通った公共道路が一切汚れておらず美しい、との市民の皆さまからのお褒めの言葉を頂いております。わたくしも実はその美しい道路を見て、新築工事における完璧な進捗状況の真実の一端と安堵している訳でございまして、清水建設ならびに日建設計の仕事ぶりを高く評価し、とても感謝致しております。

 

ところで、名前は忘れましたが、外国の偉い数学者が、「美しいことと真実であることは、同じものを違った側面からみていることに他ならない」と言ったそうです。成る程、自分がこれまでに把握している万物を司る法則や数式は、それが真実である限り、全てがシンプルで美しいものばかりです。

 

医療におきましても、効果の優れている薬は、必ずと言っていい程、美しい構造と作用機序を持っております。外科系手術の時は、如何に人体が素晴らしく美しいものであるかに驚かされます。また、美しい手術であればある程、がんの手術の場合にはその根治性が高まります。さらに、切り取った臓器の代わりになるものを腸などで作り直しますが(再建といいます)、シンプルで美しい再建は、その代わりの機能をいかんなく発揮してくれます。

 

前回お知らせ致しましたように、わたくしどもの八代総合病院は、東日本大震災の直後から、義援金を集め始めましたが、有難いことに患者さん等から20万円、全職員から80万円の募金がありました。そこで、その心意気にお応えするために院費を加え、皆さま方の「温かいこころ」を“1千万円”という形に致しました。一方で、大災害から既に4か月以上も経過した現在でも、全国で集められた義援金のたった2割しか被災地に届けられていないと聞くに及び、わたくしの責任は、その善意がきちんと被災地の皆さんに有効に使われ且つ行き先が分かるような形にすること、と考え、当地は被災地から遠隔地ですので、相模野社会保険病院の内野病院長にご相談しましたところ、有難いことに色々とご高配頂きました。そして、その内訳は、①いわての学び希望基金(震災で両親を亡くした子供たち)に350万円、②共同支援ネットワーク(復興に必要な車両3台)に370万円、③全国コミュニティーライフサポートセンターに100万円、④福島県会津坂下町(原発被災地)に100万円、⑤東北地区社会保険病院に80万円、となりました。直ぐに感謝状やお礼状を頂きましたので、病院玄関に掲載し、患者さん方にご報告いたしております(写真)。皆さまのお陰で、大変悲惨な大震災でございましたが、とても美しい八代のこころを行き先が分かる形で被災地にお届けすることが出来ました。ご協力、誠に有難うございました。

 

わたくしどもの八代総合病院は、「職員自身がかかりたい病院にする」「公に一肌脱ぐ」を合言葉に、「質の高い医療」と「患者さんを癒す医療」を全職員が一丸となって努力し、現在、その実践の場である「新病院建設」を、将来の八代の新しい街創りと地方からの国創りを見据えながら鋭意行っておりますが、当院の外観や内部も、シンプルで美しい建築となっております。 くだんの数学者の言葉が真理であれば、新病院は素晴らしい機能美を発揮しながら、八代の息の長い新しい美しい街創りにも持続的な貢献をしていくものと確信致します。

 

猛暑の折ではございますが、皆様方の倍旧のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成23年7月



 

2011.11

-西の「男気」と東の「なでしこ」-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年秋号 病院長挨拶より〜

 

2011.7

-美しいものが真実であり脈々と続く-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年夏号 病院長挨拶より〜

 

2011.3

新年度病院長挨拶 −A brave new world−

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年春号 病院長挨拶より〜

 

2011.1

−アスクレピオスが舞い降りる−

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年新年号 病院長挨拶より〜