病院長挨拶

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「真の新しい総合病院」に向かって
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 新年号 病院長挨拶より〜

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年10月就任時におけるわたくしの八代総合病院に対する決意は「自分自身がかかりたい真の総合病院」にすることでした。そして、以下のようにすぐに取り組むべき項目を挙げました。

1. 職員全員がプロとしてチーム医療に務め、患者さんに満足して頂くこと

2. 90%以上の稼働率ならびに平均在院日数20日以下を達成すること

3. 徹底した病診連携を行っていくこと

4. 役職組織図の改変を示すこと

5. 全職員ならびに全非常勤職員とのヒアリングを行うこと

6. 赤字収支を黒字転化すること

7. 閉鎖診療科再開に向けた活動に精力を注ぐこと

 そして、着任の次の日から八代市ならびに八代郡の全ての医療施設にご挨拶をさせて頂きましたが、医師会の先生方や皆様のお陰によりまして病診連携に努めることができ、職員全員がプロとして一丸となって医師主導型のチーム医療を実践し、とても患者さんに満足して頂いております。そして現在、90%以上の稼働率ならびに平均在院日数20日以下を達成致しております。従いまして、昨年10月の少額の赤字を経て、11月の収支は黒字転化し、まだまだ多額の累積赤字を抱えてはおりますがボーナスを含めた給与のカットを一切行っておりません。また、就任後から7週間かけて病院長と全職員ならびに非常勤職員総計381人とのヒアリングを直接1人1人と行い、当病院の問題点と短期ならびに長期展望を述べ、相談を受け、忌憚のない意見を聞き、解決策を模索しました。そして今、職員のモチベーションは向上し、全職員は意気投合し一丸となって八代総合病院の診療を行いながら、閉鎖診療科の再開に向けて全精力を注いでいるところです。

 国の医療費適正化3計画の医療計画の中に、医療機関の分化と連携が謳われておりますが、医師不足を逆手に取った「特化」によって、当病院は地域住民から必要とされ質の高い最新の医療を行う中核総合病院であるにも関わらず、複数の診療科の閉鎖に追い込まれ、総合病院とは名ばかりの状況でございます。しかし、さすが熊本大学大学院教授陣の見識は高く、当病院が常に高い医療レベルで診療している状況や地域医師会と密接に連携して地域住民の医療に貢献していることを高く評価して頂き、閉鎖診療科の再開にご尽力して頂いております。本当に有り難い限りで、今後、わたくし共も熊本大学大学院医学薬学研究部との連携を図り、真の総合病院に生まれ変わって、熊本大学に対して大いにお役に立てるように

 「消費税増税は賛成ですが、その税金は、公共事業ではなく、教育と医療のためだけに使うと明言すれば国民は納得するのではないですか」と申し上げました。教育と医療は国家の基盤であり、何をさておいても国費を注ぎ込んで惜しくないものであると考えます。教育とは教育基本法を改正することに力を注ぐことではなく、人間のこころを育てることであり、政治、経済や学問を通じて、人間や国のあるべき姿を見晴らしその方向性に向かって協力し、その結果、幸福なこころを持つことが出来るのかと思います。そして、医療は以前のような世界に冠たる保険制度が理想と思います。しかし、最近、国家の基盤である教育と医療が蔑ろにされ、お金を持っていなければ良い教育が受けられなくなった、本来なら極めて重要事項であるとわたくしも考える効率化や競争論理に名を借りた内容が伴わない役人主導の医療システムだけが横行し、患者さんの満足のいく医療が提供できなくなった、ということに本当に遺憾の念を禁じ得ません。最近の教育制度改革の煽りで失った素晴らしい人材が戻るのに何十年もかかるでしょうし、医療費の大削減によって日本の真の医療は壊滅し、アメリカのように医療人以外の人間が金儲けのために医療を行うようになるでしょう。

 このような医療情勢と医師不足の真っ只中、昨年10月、突然のご指名で満身創痍の八代総合病院をお預かりして以来、八代市医師会の先生方、さらには地域住民の皆様の暖かいご支援を賜り、本当に何とお礼を申し上げてよいか分かりません。

 就任以来ずっと、医師会の先生方や皆様から八代総合病院にひとかたならないご温情とご指導を賜っていることをひしひしと感じており、心から感謝申し上げております。これからも先生方のご期待に少しでも添えるように職員一同ひたすら患者さんの満足のいく医療の実践に情熱をもって邁進する覚悟でございますので、誠に勝手ではございますが、倍旧のご支援を賜りますよう重ねてよろしくお願い申し上げます。

 医療情勢は厳しい訳ですが、本来、教育と医療は国家の基盤であり、何をさておいても国費を注ぎ込んで惜しくないものであると考えます。財源が厳しいのであれば、消費税増税を断行し、その税金は、公共事業ではなく、教育と医療のためだけに使うと明言すべきと思います。本当に、教育と医療が蔑ろにされており、教育制度改革の煽りで失った素晴らしい人材が戻るのに何十年もかかるでしょうし、医療費の大削減によって日本の真の医療は壊滅し、アメリカのように医療人以外の人間が金儲けのために医療を行うようになるでしょう。

このような医療情勢と医師不足の真っ只中、昨年10月、突然のご指名で満身創痍の八代総合病院をお預かりして以来、八代市医師会の先生方、さらには地域住民の皆様の暖かいご支援を賜り、本当に何とお礼を申し上げてよいか分かりません。

平成19年1月

 

2007.11

就任から1年を振り返って

—八代地域医療に貢献する当院の使命と機能—

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 秋号 病院長挨拶より〜

2007.4

ご期待にお応えする「真の総合病院」への道を一歩一歩

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 春号 病院長挨拶より〜

2007.1

「真の新しい総合病院」に向かって

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2007年 新年号 病院長挨拶より〜