病院長挨拶

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〜正しい評価がプライズを超える〜
〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 春号 病院長挨拶より〜

 

 新病院をオープン致しまして、1年が経ちましたが、多くの患者さんから発せられる「素晴らしい施設と設備の病院で、優秀な医療スタッフに診療してもらい大変満足し感謝している」という有難い声が、益々職員のモチベーションを上げ、質の高い医療に拍車がかかっております。全ては、皆さま方のご支援のお陰と深く感謝申し上げております。

 

 以前から申し上げておりました通り、当院はこの4月から「独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)」に移行いたしました。今後は、大学病院や国立病院と同様の独立行政法人として、国の医療政策に貢献できるように、本機構の使命である「質の高い地域医療のみならず地域包括ケアや総合診療医の育成」の推進に努めていかなければなりません。
一方、「独立行政法人」にはガバナンス(国の統轄)が付き物です。ところが、医療を担当する独立行政法人というものは、時代に応じた最新の施設・設備とフットワークの良いプロの医療人がチームワークで人を診ていくものです。従いまして、国立病院機構の前理事長が指摘されましたように、医療を担当する機構には強いガバナンスは不向きです。国会決議でも、「本機構に国費を投入しないこと」も条件でございましたので、どうか、質の高い医療の実現のため、患者さんのための病院裁量が十分に発揮できるようなガバナンスに止めていただきたいものです。

何はともあれ、「独立行政法人」は、矢張り「ブランド」でありますので、「地域医療機能推進機構」の名に恥じないように、これまで以上にさらに質の高い地域医療を推進していかなければならないと気を引き締めているところでございます。

 

 ところで、先のソチオリンピックでは、羽生結弦選手が名実共のゴールド「プライズ」を獲得し、安堵しました。ところが、浅田真央選手はショートプログラムで大失敗しましたが、フリーでとんでもない世界一の演技を見せてくれたにも関わらず世界一の得点の評価はなく、何の「プライズ」も得ることはできませんでした。それでも、正しい批判力のある世界の人々はこぞって、その演技に感動し、世界一と絶賛しました。それは、世界の正しい評価がオリンピックの「プライズ」を超えた瞬間、でした。往々にして、「プライズ」は、その人の真の優秀さを示すものではありません。得てして、凡そ談合で決まります。「プライズ」ひいては「名前」という目眩ましにやられないように、私たち国民は挙って正しい批判力を持たなければ、その「なんとかプライズ受賞」という肩書きだけを振りかざす“かさばった”人たちによって、文化や建物や街も含めまして、徐々に破壊されるかもしれません。

 兎に角、有り難いことに、浅田真央選手は、「プライズなんか目じゃない」ということを身をもって世界に向かってはっきりと示してくれました。

 

 人は必ず死にますので、私たちの子孫の将来がもっともっと良くなるような正しい批判力を持って、少しでも良いものを残さなくてはなりません。日本の医療もそうですが、文化や建物や街創りにおいても然りです。それが心ある日本人が創らなければならない脈々たる歴史ではないでしょうか。

 

 今後とも、「自分自身がかかりたい質の高い医療や地域包括ケアを実践する」に加えて「美しい街創り」でも、「公に一肌脱いで」参りますので、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成26年 4年1日

 

 

2014.10

私たちの信念

〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 秋号 病院長挨拶より〜

 

2014.7

とても悲しい出来事

〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 夏号 病院長挨拶より〜

 

2014.4

正しい評価がプライズを超える

〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 春号 病院長挨拶より〜

 

2014.1

今年のカレンダー

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2014年 新年号 病院長挨拶より〜