病院長挨拶

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〜とても悲しい出来事〜
〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 夏号 病院長挨拶より〜

 

 2020年の東京オリンピック開催に向かって、「おもてなしの第一歩は、美しい心の人が暮らす美しい街である」という言葉を聞いて、「良かねー」と思いましたが、よく読んでみると私の思惑と一寸違っていました。この方は、「掃除」にとても関心を持っておられて、開催国に相応しいマナー、美しい所作や仕草、を備える人を増やして、且つ、国土をきれいに掃除を、という趣旨であられました。勿論、「おもてなし」を果たすために、それは本当に素晴らしいことに間違いありません。

 

 第二次世界大戦敗戦後、負けることに慣れていない日本は、二度と立ち上がれないように仕組まれた対日アメリカ政策に殺られてしまって、残念ながら食べることで精一杯であることも加わって、自分を見失いました。そして、様々な対日本骨抜き政策のうち、「プライドが持てる街創りの放棄」も自然と受け入れてしまって、「スクラップ・アンド・ビルド以外に何があるの」という考え方が一般化してしまったのではないかと私は勝手に思っています。さらに、出来てしまった既存の街は、変えようとしてもとんでもない労力と時間を要する訳で、考えるだけでも悍ましい限りです。ところが、現在、戦後に建てられたプライドが持てない既成市街地が建て替え時期を迎え、新しい街創りの千載一遇のチャンスですが、一度すっかり失ってしまった美意識への関心は取り戻せそうにありません。美しい上に、結局はエコなのにと思うのですが・・・。

 

このことに較べれば、些細なことかもしれませんが、わたくし共が一丸となって建てて大事にしている新病院の内壁が、警察署の調べでは子供でなく大人で釘のような鋭利なもので、深く傷つけられました。それもご丁寧なことに東西南北やられました(写真参照、八代警察署によって指紋採取済み)。誠に遺憾にたえない出来事です。



ご案内の通り、当新病院建設のコンセプトは、「質の高い地域医療に貢献する、のみならず、八代の美しい街創りにも貢献する」でございました。地域住民の皆さんがプライドを持てる美しい街創りの起爆剤となることで八代に貢献したいと、職員全員が一生懸命になって建てたものでございます。

 

 さらに、この内壁は、清水建設の東京木工所で日本国内にもう在庫がない材料を使って特別に製作されたもので、日本の木工技術金賞を受賞した沢山の名職人さん達が昼夜を分たず一生懸命になって作られた素晴らしい作品です。東京木工所の工場長はこの仕事を最後に退職され、有り難いことに「自分のこれまでの仕事の中で最大・最高の思い出になった」と言われていました。そして、その記念として背面に皆んなでサインをさせてもらった、と聞いています。

 

わたし達は、決してあなたを許さない。「Do it again, and we will never fail to catch you.」。

以前紹介したことのある都市デザインを牽引した権威、ケビン・リンチが言いました―「街創りはとてもとても困難だ。何故なら住民自身も街の一部であるからだ」。。

 

 何はともあれ、わたくし共は、上記のような悲しい出来事を尻目に、4月からスタートした「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 熊本総合病院(KGH)」という「ブランド」の下、益々全職員がモチベーションを上げ、質の高い医療に拍車がかかっております。

 

今後とも、引き続きまして、「自分自身がかかりたい質の高い医療や地域包括ケアを実践する」に加えて「美しい街創り」でも、「公に一肌脱いで」参りますので、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成26年 7月1日

 

 

2014.10

私たちの信念

〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 秋号 病院長挨拶より〜

 

2014.7

とても悲しい出来事

〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 夏号 病院長挨拶より〜

 

2014.4

正しい評価がプライズを超える

〜熊本総合病院だより『ぱとす』2014年 春号 病院長挨拶より〜

 

2014.1

今年のカレンダー

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2014年 新年号 病院長挨拶より〜