病院長挨拶

  • 2019_
竜宮小僧
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 新年度号 病院長挨拶より〜

 

 驚愕の「平成28年熊本地震」から丁度1年が経ちましたが、私どもは「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 熊本総合病院」として、引き続き一丸となって、さらに質の高い医療の実践を行ないながら、JCHOの使命である「地域医療・地域包括ケアの推進」を含めて大いに公に貢献できるように努力いたしておりますことをご報告申し上げますと共に、すべては、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。

 

 上記の通り、私共の熊本総合病院は常に質の高い医療を行いながら、地域住民の皆さまにお役に立てるように努力しておりますが、厚生労働省調査で「どういう病院を受診したいかランキング」が発表されております。それによりますと、私の予想に反して、1位は「医療設備が良い」でした。1位と予想した「良い医師(名医・専門医)がいる」は実際には2位で、「診療科目が多い」「開業医の紹介で」「アクセスが良い」と続きました。

 当院の場合は、有り難いことに全てのランキング項目を満たしておりますが、何と申しましても、医師会の先生方のご紹介で成り立っており、直近3ヶ月のデータでは、何と「紹介率は85%」に上り、心から医師会の先生方に感謝申し上げております。一方、「逆紹介率は82%」でございますので、当院の大原則「外来は医師会の先生方で、入院はご紹介頂き当院で」を鋭意実践しておりますことを、胸を張ってご報告申し上げます。そして、語源は中世ラテン語のホスピターレでホテルと同一語源であるホスピタル(病院)の名に恥じないように、「おもてなし」にも特に力を入れておりますことも併せましてご報告申し上げます。

 ところで、今年の大河ドラマ「女城主 直虎」に「竜宮小僧」というのが出できますがご存知でしょうか? 竜宮小僧とは、静岡県浜松市や浜名湖周辺で語り継がれている伝説がもとになっているそうですが、「人が困っていることを、知らぬ間に手伝ってくれる謎の存在。小さなことで分かり易く言えば、知らぬ間に田に苗を植えておいてくれたり、洗濯物を取り込んでおいてくれたりする伝説の小僧さん」だそうです。ところが、「困っている人を助けること」は、本当に、言うは易く行うは難し、です。何故ならば、困っている人を助けるためには、勇気と知恵、そして行動力が必要だからです。「勇気と知恵、そして行動力」は、何とも素晴らしい言葉ですし、難しいながらも、医療に携わるスタッフには間違いなく必須条件だと思います。

 

 そしてここで、さらに重要なことは、「知らぬ間に」がキーワードです。「助けられる人が、知らぬ間に、助けられている」なんて、こんなに素敵なことはありません。親切を押し付けることのない行動は最高の親切であり、これが正に、本物の「竜宮小僧」であり、「人間性の証明」でございます。従いまして、当院のキャッチフレーズに、10年前より「医療と共に、公に一肌脱ぐ」を掲げ、全職員に鼓舞・推進いたしております。

 因みに、表紙に掲げましたように、昨年、当院西側の歩道を全長約200m(最大幅10m)に延長し、車椅子ででも安全・安心な歩道にして、市民の皆さんに提供させて頂いておりますが、「気付かれない自然な佇まい」となっております。

桂並木歩道2017春

 

 今後とも、JCHOの使命を遂行しながら、当院は公的高度急性期病院として「患者さんに満足される質の高い最新の医療を情熱を持って実践」し、「自分自身がかかりたい病院にする」という医療の根源を追求したいと存じます。

そして、「竜宮小僧のようになって、公に一肌も二肌も脱いで」参りますことを肝に銘じて邁進致しますので、医師会の先生方をはじめとした皆様方の倍旧のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成29年4月



 

2017.10

栄光の架け橋

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 秋号 病院長挨拶より〜

 

2017.7

病院のディズニーランド化

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 夏号 病院長挨拶より〜

 

2017.4

竜宮小僧

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 新年度号 病院長挨拶より〜

 

2017.1

私、失敗しないので

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2017年 新年号 病院長挨拶より〜