病院長挨拶

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透明性と透明人間
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2025年 新年号 病院長挨拶より〜

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

新年7日にはロサンゼルスの多発性大規模火災が発生しましたが未だに鎮火しておりませんし、国内の政治もさらに問題山積で、騒然とした新年となっておりますが、皆様方におかれましては新しい年を穏やかにお迎えのことと存じます。

このような年頭ではございますが、当院は本年も、皆様方のご支援の下、一丸となってさらに質の高い急性期医療の実践を行ないながら、JCHOの使命である「地域医療・地域包括ケアの推進」に向けて貢献するように最大限の努力をして参ります。そして、このように努力できますことは、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。

ところで、「103万円の壁」で象徴されるように、多岐にわたる多額に膨らんだ税金搾取によって国民の生活は極めて圧迫されております。財務省によれば、皆様もご承知の通り2024年度国の一般会計予算は約113兆円です。一方、これまで私も全く認識しておりませんでしたが、裏の国家予算にあたる特別会計の予算は何と約4倍の436兆円となっているそうです。勿論、その全てが国民の税金でございます。
一般会計の歳出は、社会保障費・地方交付金・文教科学振興費・防衛費などに支出されて国会でも議論の的となっていますが、国の特別会計は「特別会計とは、特定の事業や資金の収支を明確にするために、一般会計とは別に設けられた会計で、例えば、外国為替資金特別会計や年金特別会計、東日本大震災復興特別会計など」となっております。
しかしながら、国の特別会計、特に170兆円にも上る外国為替資金特別会計、は国会でも全く議論の的となっておらず当然そのチェックは殆ど行われていませんので、わたくしども庶民にとって「透明性を欠き、正に、透明人間となってやりたい放題」といったところでしょうか。

このことを、「母屋でおかゆをすすっているときに、離れでは子どもがすき焼きを食っている」、即ち、「各省庁の差配で予算配分が決められ既得権益の温床となっており、官僚の天下り先である特殊法人(NHKや多種公団・事業団など)に流れ込んでいくという構造が形成されている」との塩川元財務相の言葉が特別会計の実態を象徴しているそうです。正に、透明人間の集塊、いやはやなんともはや困ったものです。

鴎外の「最後の一句」に、父の無罪を信じる娘いちのお白洲での言葉「お上のする事には間違いがございますまいから」は、逆に、鴎外の官権への強烈な批判意識が込められています。一方、当機構本部の毎年の明瞭な収支報告を知らされている訳ではありませんが、当院におきましては、毎月毎月、職員に収支報告を行っており、当院は透明性が確保されていると確信しているところでございます。

 さておき、わたくし共の熊本総合病院は、本年も引き続き全職員が一丸となって、「医療とともに、公に一肌脱ぎ」ながら「医療のみならずまちづくりにも貢献する」意気込みで、地方創生・人口増加・少子化阻止にも少しでも寄与できるように、さらに精進して参ります。本年も、皆さま方のさらなるご支援を何卒宜しくお願い申し上げますとともに、皆さま方のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。







令和7年 新年吉日

2025.1

「透明性と透明人間」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2025年 新年号 病院長挨拶より〜

2025.4

「今こそハイスキル終身雇用へ」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2025年 春号 病院長挨拶より〜

2025.7

「正気の沙汰」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2025年 夏号 病院長挨拶より〜


島田 信也

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)
熊本総合病院 病院長
JCHO学会院長部会 会長



略歴

1980年 熊本大学医学部卒業、熊本大学第二外科入局
1986年 熊本大学大学院卒業(医学博士)
1988年 アメリカNIH国立癌研究所主任研究員(~1992年)
1993年 熊本大学第二外科助教
2003年 熊本大学大学院消化器外科 講師
2005年 熊本市立熊本市民病院 外科部長
2006年10月から現職
2007年 熊本大学臨床教授兼任
2017年~2024年3月 JCHO九州地区担当理事
2022年 JCHO学会院長部会会長兼任
2024年4月~2025年3月 JCHO理事長特任補佐兼任