多数のご参加、誠にありがとうございました
2025年9月13日、当院北館5階にて大ホール第81回市民公開講座を開催しました。
当日は多くの市民の皆様にご来場いただき、満席となりました。
【テーマ】「心臓病を予防しよう ― 心・腎・糖のつながりを知って、いのちを守る ―」
各分野の専門家が、今日から実践できる予防のコツと最新治療をわかりやすく解説しました。
司会

熊本大学大学院生命科学研究部 心臓血管外科学
福井 寿啓 教授
講演ダイジェスト

循環器内科|「心臓病の基礎と予防」
胸痛の見分け方と、日常でできる予防・受診のポイント。
- 労作時に出て安静で治まる胸痛は狭心症、20分以上続く強い胸痛は心筋梗塞のサイン。
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・肥満など危険因子の継続管理が重要。
- 家庭血圧を正しく測定し、定期的な健診を活用。
- 気になる症状は我慢せず早めに受診を。

糖尿病センター・健康管理センター|「糖尿病と心血管病」
糖尿病は動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
- LDLコレステロールは低いほど望ましいというエビデンス。
- 食事・運動・禁煙などを含む包括的管理がリスク低減に有効。
- 日常の身体活動量の増加が全死亡・心疾患死亡の低下に関連。
- 定期的なフォローで合併症を早期発見・早期対応。

腎センター|「尿検査でわかる心臓からのSOS」
心臓と腎臓は血管でつながる“お互いさま”の関係。
- 慢性腎臓病(CKD)は心血管病の独立したリスク因子。
- たんぱく尿・eGFR低下は心筋梗塞・脳卒中リスク上昇のサイン。
- 毎年の尿検査と早期受診で重症化を予防。
- 腎機能の変化に気づいたら早めに専門医へ相談。

管理栄養士|「おいしく食べてハートを守ろう」
“減らす”と“増やす”をバランスよく、続けやすく。
- 減塩(目標6g/日未満)を意識し、味付けは“1点突破”で満足感を。
- 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を控え、脂質の“質”を見直す。
- 魚・野菜・大豆・食物繊維を増やし、適正体重を維持。
- 市販品の栄養成分表示を見て賢く選ぶ。

循環器内科|「冠動脈疾患の最新カテーテル治療」
診断~治療の流れと、進歩するデバイス。
- 症状と検査:運動負荷心電図・冠動脈CT・心筋シンチ・心カテで総合評価。
- 石灰化病変に対するローターブレーター/ダイヤモンドバック/ショックウェーブなどの選択肢。
- 病変や全身状態を踏まえた個別最適化の治療戦略。
- 治療後も再発予防(生活習慣・薬物療法)が重要。

心臓血管外科|「冠動脈疾患の外科治療」
外科治療が有効なケースと術後の見通し。
- 多枝病変・左主幹部病変などではCABG(冠動脈バイパス術)が有効なことがある。
- グラフト選択:内胸動脈・橈骨動脈・大伏在静脈などを症例に応じて使い分け。
- 人工心肺の有無、合併症リスク、術後のリハビリの流れを理解。
- “ハートチーム”で循環器内科と連携し最適な治療方針を決定。
体験コーナーの様子
会場内では、体組成計・エルゴメーター・血圧測定を体験いただきました。 測定結果の見方や、毎日の健康づくりに活かすポイントもスタッフが解説しました。



今日の「持ち帰りポイント」
- 胸の痛み・息切れなど気になる症状は我慢せず早めに受診。
- 家庭血圧を正しく測定し、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・肥満などの危険因子を継続管理。
- たんぱく尿やeGFRは心血管リスクのサイン。毎年の尿検査を習慣に。
- 食事は減塩・脂質の“質”を見直し、魚・野菜・大豆・食物繊維を増やす。
- 必要に応じて最新のカテーテル治療や外科治療の選択肢あり。まずはご相談ください。
※本ページは講演の要点と当日の様子をわかりやすくまとめた報告です。詳細は各診療科・センターへお問い合わせください。