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「社会の原点は仁と義と人口増加」
今年も10月になっても真夏日が続くなどとんでもない猛暑でしたが、矢張り、短くともちゃんと秋は来るようで、皆様方におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
私共の「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 熊本総合病院」の全職員は、さらに質の高い医療の実践をしながら、「地域医療のみならず地域包括ケアの推進」というJCHOの使命を果たしつつ、大いに公に貢献するように努力しておりますが、すべては、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。
ところで最近、厚労省の方針で、地域医療構想の議論活性化を目的として「ダウンサイジング等を含む再編統合の要否」を今後検討していくことになっておりましたが、先月末に、その具体的対応方針の「再検証」要請対象として1455病院の公立・公的医療機関のうち424の病院名が公表されました。また、3094施設ある全国の民間病院についてもその実績を提示する予定となっているそうで、今後は、公民一体となった「地域毎における地域医療構想の議論」が重要視されるところです。
この「地域医療構想」の始まりは、将来の医療需要と病床の必要量を推計し地域の実情に応じた方向性を定めていく、すなわち、地方はいずれも統計的に人口減となり2025年を境に高齢者人口も減少していくので、過剰病床を減らすことで医療費削減を目論んだものです。
「人口減・少子化の中で、過剰病床を減らし医療費削減を目指すこと」は重要ですが、そもそも、何故、日本が情けない程の人口減・少子化なのでしょうか? 人口減・少子化にストップをかける強力な政策を打ち出さないことが、正に本末転倒で、人口増あるいは人口プラトーであれば、何も医療費削減に躍起になる必要もありません。「日本消滅の危機」が叫ばれるようになって久しくなりましたが、人口減・少子化に何の好転も見られないのは残念でなりません。現在の日本の人口は1億2615万人ですが、過去5年で約110万人減少しており、このまま加速的に推移すれば、西暦2100年には、何と、江戸時代の徳川8代将軍吉宗の頃の人口の3700万人、200年後には1400万人、300年後には450万人となって、まさに「日本が消えてなくなる過程」に入っております。熊本県でもこの5年間で179.5万人から174.5万人と何と5万人も減少しています。5万人というとある程度の都市が1つ消えており、「日本が消えてなくなる過程」も現実味を帯びています。
一方、国連のデータによると、先進国のうちアメリカの人口は、2000年が2億8198万人、2010年が3億864万人、2015年が3億1992万人と増加し続けています。一般的に人口の増加は、経済の成長につながると考えられていますし、「凡そ善政は戸口を増すを主とす(孟子)」の通り、良い政治の証とも考えられます。
従って、日本の人口減・少子化の一番の原因は一体何なのかを明確にするべきと思います。私は、個人的には、日本の若い人たちの「『蔓延した閉塞感』」と「将来に対する得も知れぬ不安感』」が大いに影響しているのではないかと思っています。今こそ、わたくし共のような世代が少しでも「仁(思いやりの心)義(筋の通った行動)」で「国や地域に貢献しようとする意欲と覚悟」を持って、子孫にとって恥ずかしい先祖となり果てないように、こんなに自然環境が素晴らしい日本の都市が廃墟と化さないように、「地域医療構想」と並行して、鋭意、「若い人たちが夢とプライドが持って安心して子供を産める地域づくり」に少しずつでも貢献する義務があると考えます。
何はともあれ、わたくし共の熊本総合病院は、引き続き全職員が一丸となって、「医療と共に、公に一肌脱ぎ」ながら「夢とプライドが持てるまちづくり」で、少しでも人口増と少子化阻止に貢献できるように、さらに精進して参ります。今後とも、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。
令和元年 10月吉日
2019.10
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2019年 秋号 病院長挨拶より〜
2019.8
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2019年 夏号 病院長挨拶より〜
2019.4
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2019年 新年度号 病院長挨拶より〜
2019.1
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2019年 新年号 病院長挨拶より〜