病院長挨拶

  • 2019_
−一肌脱いで正のスパイラルへ−
〜八代総合病院だより 『すこやか』 2009年秋号 病院長挨拶より〜

八代総合病院に着任して丁度3年が経ちました。この間、八代総合病院は、医師会の先生方、熊本大学医学部教授陣、行政ならびに地域の皆様のご支援によって、有難い正のスパイラルを呼び、満身創痍だった当院が順調に再生し、八代地域医療の主軸として社会に貢献できるようになったことに対しまして、職員を代表して心から感謝を申し上げます。

少し前の話になりますが、リーマンショックから8カ月目の日曜日、熊本の自宅で遅い朝食を食べ終わった頃に、北海道大学名誉教授のY先生から電話がありました。「最近、NHKってろくな番組しないけど、これからフランスのミッテラン元大統領の右腕だったジャック・アタリという人のインタビューがあるので是非見なさい。」、との事でした。そして、「私は、もう直ぐにでも死んでいく身なので構わないが、今の若者や自分たちの子孫がどんな社会で、どう生きていくのか、とても心配だ。」と付け加えられました。蛇足ですが、Y先生は、いつも80歳とはとても思えない若々しい声の響きです。

アタリさんは、今後、世界は4つの波(1.アメリカ支配の崩壊、2.国際協調、3.グローバルな統治、と 4.超紛争)を乗り越えて、もし全世界が良い方向を掴むことができれば、最終的に「超民主主義」に進むと、ずっと以前から予想しています。そして、すでにアメリカ支配の弱体化が起きており、1の予想はまさに的中しました。アタリさんの予測の最も重要なポイントである世界のあり方の結論、すなわち「超民主主義」とは、「合理的な利他主義」のことだそうで、他人を愛することが真の賢さだと明言し、マザーテレサやビルゲイツのような新しいエリートを育てる世界中の教育の必要性を力説していました。

9月17日、奇しくも、当院の外科からの論文が世界で最も権威のある外科雑誌に掲載されたという熊日新聞記事の一面に、鳩山民主党が政権を取ったことが紙面を飾りました。鳩山民主党に期待し「真の政治」が行われることを心から願いますが、「姑息的な政治」ではなく「真の政治」が行われる良い社会創りのためには、あてにならないことが多い政治だけに責任を押し付けるのではなく、国民1人1人が小さなことでも良いので継続的に公に貢献し、少しずつでもさらに良い社会を創り、それを子孫に脈々と渡し続けて行くことが、私たちの厳しくも当然の責任であります。

 わたくし共の八代総合病院の基本方針は「職員自身がかかりたい病院」です。「自分自身がかかりたい病院」にするためには、職員全員が「他人のために一肌脱ぐ」ことが必須ですし、それが「文化」です。そういえば、鳩山首相の理念も「友愛」だそうで、どこの小学校の掛け軸にでも掛かっていそうなパンチのない単語ですが、わたくしの「みんなで一肌脱ごうじゃないか」と根本的には同じで、アタリ氏の「合理的な利他主義」にも通じます。

 公的病院の使命は、「医業を通じて、公に貢献すること」以外にありません。私は、医師会の先生方、熊本大学医学部教授陣、行政ならびに地域の皆様から頂いている有難い正のスパイラルの上に、「当院の職員全員がプロの医療人として一肌脱ぐ」ことによって更なる正のスパイラルを呼び込み、最新のチーム医療を行うのみならず子孫に脈々と引き継ぐべき八代の新しい街創りの黎明として、新病院を建設して参る所存でございますので、皆様方の倍旧のご指導とご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

平成21年10月



 

2009.10

−一肌脱いで正のスパイラルへ−

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2011年秋号 病院長挨拶より〜

 

2009.7

-「一流」は「感動」-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2009年夏号 病院長挨拶より〜

 

2009.4

—みんなで新しい稜線を行こう—

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2009年春号 病院長挨拶より〜

 

2009.1

-死に向かって一直線-

〜八代総合病院だより 『すこやか』 2009年新年号 病院長挨拶より〜