死してのち已む
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2024年 秋号 病院長挨拶より〜
今年の夏はとんでもない猛暑でそれが10月初旬まで続きましたが、ようやく秋を感じさせる季節となりました。皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。
当院は、皆様方のご支援の下、一丸となってさらに質の高い急性期医療の実践を行ないながら、JCHOの使命である「地域医療・地域包括ケアの推進」に向けて貢献するように最大限の努力をして参ります。そして、このように努力できますことは、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。
実は、八代の中心市街地の区画は、測ったように東西南北となっていますので、当院の本館玄関は真南、北館は真北を向いております。そして、私の小さな病院長室に繋がる応接室の窓は真西にありますので、春夏秋冬の季節がはっきり感じられます。すなわち、西の天草に沈む太陽の位置が1年でダイナミックに約60°も南北にずれてしまいます。そして、秋分の日は真西の天草松島に沈み、夕日の色も写真のように次第に茜色に変化し、そういう訳で今年もまた秋の感傷に浸っているところです。
ところで、皆様方も名付け親になられている方も多いかと思いますが、「昔は主に母方の祖父が命名する」そうで、私事で申し訳ございませんが、私も娘夫婦の依頼により2人の男孫の名付け親となりました。
第一子の孫の名前は、「一燈」です。平安時代に比叡山延暦寺を開いた最澄の「一燈照隅 万燈照国」という言葉がございますが、「最初は一隅を照らすような小さな灯火でも、その灯火が百、千、万と増えれば、国中を明るく照らすことになる」という意味だそうです。また、江戸時代の儒学者である佐藤一斎の「言志四録」の言葉は、「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ、只、一燈を頼め」です。ところが最近、残念なことに、娘から「麺屋一燈」というラーメン屋さんが既にあるというクレームが入りました。
第一子の説明は長くなりましたが、第二子の孫は、「斯道」です。「斯道」とは、「人として生きる仁義の道」でございます。私は勝手に、仁は「思いやりの心」、義は「公に一肌も二肌も脱ぐ心」と解釈しております。
「一燈を提げて仁義の道を行く」ことは極めて困難ですので、この二人の孫の有り様を見ていると、正に、将来、「名前負け」と言われるのは必至です。しかしながら、私自身には無理でしたので、将来、孫にそのような人間を夢としていた祖父がいたことで許してもらえれば、我田引水、恥ずかしながら、名付けの任務だけは果たせたのではないかと思っている次第です。
そして、切に希望することは、情熱を持って精進を続け、「死してのち已む」という気概でございます。
今月始めには、石破新内閣が発足致しましたが、聞くところによりますと様々な方面からの強い懸念もあるようで、日本の内閣には是非、「仁義の国、日本」の毅然とした真骨頂を国内外に未来永劫に示して頂きたいものです
さておき、わたくし共の熊本総合病院は、本年度も引き続き全職員が一丸となって、「医療とともに、公に一肌脱ぎ」ながら「医療のみならずまちづくりにも貢献する」意気込みで、地方創生・人口増加・少子化阻止にも少しでも寄与できるように、さらに精進して参ります。皆様方のさらなるご支援を何卒宜しくお願い申し上げますとともに、本格的な秋に向かいまして、皆様方のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
当院は、皆様方のご支援の下、一丸となってさらに質の高い急性期医療の実践を行ないながら、JCHOの使命である「地域医療・地域包括ケアの推進」に向けて貢献するように最大限の努力をして参ります。そして、このように努力できますことは、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げております。
実は、八代の中心市街地の区画は、測ったように東西南北となっていますので、当院の本館玄関は真南、北館は真北を向いております。そして、私の小さな病院長室に繋がる応接室の窓は真西にありますので、春夏秋冬の季節がはっきり感じられます。すなわち、西の天草に沈む太陽の位置が1年でダイナミックに約60°も南北にずれてしまいます。そして、秋分の日は真西の天草松島に沈み、夕日の色も写真のように次第に茜色に変化し、そういう訳で今年もまた秋の感傷に浸っているところです。
ところで、皆様方も名付け親になられている方も多いかと思いますが、「昔は主に母方の祖父が命名する」そうで、私事で申し訳ございませんが、私も娘夫婦の依頼により2人の男孫の名付け親となりました。
第一子の孫の名前は、「一燈」です。平安時代に比叡山延暦寺を開いた最澄の「一燈照隅 万燈照国」という言葉がございますが、「最初は一隅を照らすような小さな灯火でも、その灯火が百、千、万と増えれば、国中を明るく照らすことになる」という意味だそうです。また、江戸時代の儒学者である佐藤一斎の「言志四録」の言葉は、「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ、只、一燈を頼め」です。ところが最近、残念なことに、娘から「麺屋一燈」というラーメン屋さんが既にあるというクレームが入りました。
第一子の説明は長くなりましたが、第二子の孫は、「斯道」です。「斯道」とは、「人として生きる仁義の道」でございます。私は勝手に、仁は「思いやりの心」、義は「公に一肌も二肌も脱ぐ心」と解釈しております。
「一燈を提げて仁義の道を行く」ことは極めて困難ですので、この二人の孫の有り様を見ていると、正に、将来、「名前負け」と言われるのは必至です。しかしながら、私自身には無理でしたので、将来、孫にそのような人間を夢としていた祖父がいたことで許してもらえれば、我田引水、恥ずかしながら、名付けの任務だけは果たせたのではないかと思っている次第です。
そして、切に希望することは、情熱を持って精進を続け、「死してのち已む」という気概でございます。
今月始めには、石破新内閣が発足致しましたが、聞くところによりますと様々な方面からの強い懸念もあるようで、日本の内閣には是非、「仁義の国、日本」の毅然とした真骨頂を国内外に未来永劫に示して頂きたいものです
さておき、わたくし共の熊本総合病院は、本年度も引き続き全職員が一丸となって、「医療とともに、公に一肌脱ぎ」ながら「医療のみならずまちづくりにも貢献する」意気込みで、地方創生・人口増加・少子化阻止にも少しでも寄与できるように、さらに精進して参ります。皆様方のさらなるご支援を何卒宜しくお願い申し上げますとともに、本格的な秋に向かいまして、皆様方のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
令和6年 10月吉日
2024.1
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2024年 新年号 病院長挨拶より〜 2024.4〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2024年 春号 病院長挨拶より〜 2024.7〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2024年 夏号 病院長挨拶より〜 2024.10〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2024年 秋号 病院長挨拶より〜 |
島田 信也 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 略歴 1980年 熊本大学医学部卒業、熊本大学第二外科入局 |