頭部MRA比較
同一症例のMRA画像比較。
左は1.5T MRIにて撮像したMRA画像。右側が3.0T MRIにて撮像したMRA画像です。1.5T MRI装置に比較して、3.0T MRIにて撮像したMRAでは、より細い血管まで描出されています。また、バックグラウンドと比較して、非常に高い信号強度で血管が明瞭に描出されています。血管の辺縁も明瞭であり、血管形態の評価に優れています。
トラクトグラフィ
MRI撮像技術の中で、トラクトグラフィは比較的新しい撮像技術です。拡散テンソル画像(DTI: diffusion tensor image)とは複数の拡散強調画像を数学的にテンソル解析した画像の事であり、水分子の運動異方性を画像化したものといえます。このDTIの持つ情報の内、白質神経線維の走行方向を画像化したものがトラクトグラフィです。
臨床での有用性については、未だ研究段階ですが、脳腫瘍術前評価や超急性期脳梗塞の描出などで期待されています。
MRCP
全例で安定した高画質のMRCPが撮像できる訳ではありませんが、3.0T MRIにて撮像されたMRCPの多くで、上図の様な高画質画像が得られます。胆嚢管が極めて明瞭に描出され、総胆管への挿入高がはっきりと確認できます。肝内胆管、主膵管の描出も明瞭です。
2013年2月の新病院移転に合わせて、新規導入しました。
Multi Transmit
患者の体内領域ごとにパルス信号を調節し最適化することにより
局所SAR(specificabsorption rate:比吸収率)の上昇を低減し、信号強度のムラを低減することができます。
これにより画像コントラストの向上、撮影時間が最大40%短縮、また従来3.0Tでは不向きとされていた腹部、乳房領域の検査も高画質な画像を得ることが可能となりました。
Smart Exam Breast
従来の乳房MRI検査ではshimming(磁場の不均一補正)を 2次元で設定していたため、どうしても乳房内外側付近に磁場の不均一による画質の低下が見られていました。
しかし、今回導入されたAchieva 3.0T TXではShimmingを3次元で設定を行えるようになり、乳房の形状に沿ってShimmingを行うことが可能となりました。これによりShimmingの精度が向上し、磁場の不均一による画質の低下が軽減されました。
1.5T MRI装置との比較
既存の1.5T MRIと比べ、局所SARの低減により撮影時間の短縮が見込まれ、
さらに高コントラストの画像を得ることが可能となりました。また、非造影血管撮影のMRA検査においても、高分解能の画像を得ることができ、より鮮明で微細な血管の描出が可能となりました。
乳房検査においても同様に画質が向上され、乳腺と腫瘍の関係がより明確に描出できる
ようになり、乳管浸潤の評価も行いやすくなりました。
特殊撮影としては、拡散テンソル法による神経繊維撮影(tractography)が行えるようになり、脳梗塞、脳腫瘍などの場合に神経繊維の状態を描出することが可能となりました。
概 要
超電導マグネットシステム、MultiTransmit RF送信システム、グラディエントシステム、FreeWaveデジタルRF受信システム、高速画像再構成システム、ワイヤレスECGモニタリングシステム、世界最軽量コンパクトマグネット、マグネット重量 4600kg、マグネット長157cm、ガントリ最狭部 内径60cm×奥行60cm、設置面積:40~70cm2、傾斜磁場システム:Quasar Dual, Quasar
基本撮像パッケージ
SE法, TSE法, DRIVE法, IR法, EPI法, FFE法, Balanced FFE/TFE法, SENSE法, Keyhole法, CHARM, 拡散強調画像法, FLAIR法, インフローMRA, PCA法, ブラックブラッド法, CENTRA法, ボーラストラック法, SameScan
最新アプリケーション
SmartExam Brain, e-THRIVE, MotionTrak Body, VISTA, MultiVane, m-FFE
当院では平成30年3月にフィリップス社製の最新MRI装置Prodiva1.5T-CXの導入を行いました。この装置はアジア向けに開発された初の装置で、日本人向けに装置の洗練化やコイルの性能向上、形状改善、軽量化が行われています。これにより、従来の装置と比較し高画質で快適な検査が可能となりました。
DWIBS(Diffusion Whole Body Imaging whit Backgraund Body Signal Suppression)
従来の装置では病変のみが強調され描出されていましたが、最新の装置では正常な淡い信号も描出可能となり、診断能が向上しました。骨シンチやPET検査に近い画像が薬剤を使用せず15分程度で撮像可能です。
Flexble MSKコイル
柔軟な高性能巻き型コイルです。子供から大人まで体形に合わせて密着させることができ、検査者のらくな姿勢に合わせて取り付けも可能です。また、従来のような錘をのせているような感覚がなく快適に検査を行うことができます。
これにより、四肢、関節領域において従来にはない安定した高画質画像の描出が可能となりました。
Compressed SENSE技術
当院では最新の高速撮像技術(CS : Compressed SENSE)の導入を行いました。
これにより、1つの撮像時間が1/2~1/5程度に短縮され、検査の負担軽減や画質向上が可能となりました。
Ambient Experice MR
当院では快適な検査環境を実現するためにAmbient(アンビエント)システムの導入を行いました。アンビエントは映像と音楽、LED照明を使用することでリラックスした環境下で検査を行えるシステムであり、閉所恐怖症、小児の方でも検査が行いやすくなりました。