病院長挨拶

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世界大恐慌並の新型ウイルス大災禍の緊急非常事態の中で

未感染地域への流入回避を
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2020年 春号 病院長挨拶より〜
  

  本年度も、私どもは一丸となって、さらに質の高い医療の実践を行ないながら大いに公に貢献できるように努力いたしているところでございますが、とんでもない中国武漢発の新型コロナウイルスによって、ついに日本どころか世界は新年度からとうとうパンデミックの状態となってしまい、医療のみならず1929年の世界大恐慌以来の経済崩壊の事態となっています。4月下旬現在、日本は何とか感染者1万3千人台・死者数4百人台に留まっていますが、特に米国は感染者100万人・死者数6万人を超えてさらに増加しています。
  このような未曾有の大緊急非常事態の中、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方におかれましては、通常でもそれぞれのご運営に大変ご多忙の時期にも関わらず、この憎きウイルスに振り回され、戦々恐々の毎日を送られていることと拝察申し上げます。

  今の所、熊本県は感染者47名・死者数1名であり、幸いなことに八代地域は感染未確認地域であるものの、当院も、海外から帰国した発熱者・国内流行地域からの発熱者・感染者に濃厚接触者などのCT検査やPCR検査に振り回され、特に肺炎のある濃厚疑似者の検査結果には肝を冷やすことが日常となっています。
  実は、早々と初期の段階から八代市は一つになって、熊本県がパンデミックにならないように非感染地域を維持するため、ウイルス疎開・帰省・通勤者に対して、フライヤーによるまちぐるみの強力な要請・警戒を行いながら感染流入回避を図っています。誠に、まちの誇りです。ところが、これに対してごく一部の市外の識者が人権侵害にも繋がるなどとの発言は正に「危機管理錯誤の本末大転倒」としか言いようがありません。

  ところで、この大ウイルス災禍に伴って、現在の日本は、「初動が遅い、決まってからは進みが早いものの、残念ながら、いつまでも踏ん切り悪くやり続ける」ということが指摘されています。一方、過去に日本の統治下にあった台湾においては、SARSの失敗に鑑み、武漢が閉鎖されて直ぐに中国から台湾への全面渡航禁止としたことや過去の日本統治時代における衛生管理・防疫体制の影響か、僅か感染者430人・死亡数6人なのだそうです。
  このような新型コロナウイルス大災禍の諸対応を鑑みながら、まだ収束してもいませんが終息後には、鋭意、当院もピンチをチャンスに変えることができるように更に努力して参ります。

  そして、終息を祈るばかりですが、現時点では本年11月20日・21日の両日には第6回JCHO地域医療総合医学会(「参加して良かった第6回学会」)が地方開催の第1回目として熊本市で開催されることになっております。一応、既に演題登録がオンラインで開始されていますので、全国JCHOの皆さんの溢れんばかりの演題登録をお待ち致しているところです。

  さらに、今年度は、新築時から計画していた大規模な増築計画がスタートいたします。2013年に新築した当院の敷地面積は、旧病院に比べ半分であり八代市の高さ制限もあったため、我慢をしてもらっていた該当部署の拡張と機能充実を図るものです。詳細は、この号で後述いたします。

  この重大緊急事態の新規ウイルス災禍の中、今後とも、JCHOの使命を遂行しながら、当院は公的高度急性期病院として「患者さんに満足される質の高い最新の医療を情熱を持って実践」し、「自分自身がかかりたい病院にする」という医療の根源を追求したいと存じます。
  そして、本年度も引き続き全職員が一丸となって、「医療とともに、公に一肌脱ぎ」ながら「今、医療はまちづくりにも貢献しなければならない」という意気込みは、この重大緊急事態の中でも変わることはございません。JCHOの一員として「地方創生」に寄与できるように、さらに精進して参ります。

  本年度も、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

令和2年 4月吉日

 
2020.1

「樹勢が落ちれば虫がつく」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2020年 新年号 病院長挨拶より〜

 
2020.5

「世界大恐慌並の新型ウイルス大災禍の緊急非常事態の中で未感染地域への流入回避を」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2020年 春号 病院長挨拶より〜

 
2020.7

「自然を畏れ自然に感謝する」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2020年 夏号 病院長挨拶より〜

 
2020.10

「医療は医療だけに留まらない」

〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2020年 秋号 病院長挨拶より〜