このような未だに不安の中、当院が地域医療に多大な貢献ができておりますことは、医師会、熊本大学教授陣、国・県・市行政ならびに市民の皆さま方のご支援の賜と深く感謝申し上げます。
ところで、現在、日本は米国のRNAワクチンを接種・調査し、今後、全国民に接種しコロナ禍の収束を図っていく予定ですが、私は、このワクチンはこれまでになかったタイプですので、いくつか知りたいことがありました。それは、①人体にはRNA分解酵素や免疫機構がどこにでもあるのでワクチンが分解・除去されないための工夫をどうしているのか、②投与された少量のRNAワクチンからどのようにして大量の抗原性の高い新型コロナ抗原蛋白を創るのか、③ワクチンが予期できない蛋白を創って人体に悪影響を起こさないか、という疑問です。
私は、米国NIHでがん遺伝子を触っていた経験はあるもののRNAワクチンについては素人なので、もしかしてちょっとした間違いはあると思いますが、皆さん方も特に③に対しては、高い関心を持たれているのではと思った次第です。
①と②については、簡単に説明申し上げれば、RNAワクチンが、①は脂肪膜に包まれた微細粒子として注射されていることやRNA修飾を受けていることで分解や自然免疫から逃れていること、②はRNAを構成しているウリジンという核酸をメチル化された偽ウリジンにして何十倍ものコロナ蛋白を作らせていること、と知りました。
問題の③は、どうも、コロナウイルス表面にあるスパイク(多数の棘)に対する抗原性の高い蛋白を作らせる目的で、コロナウイルスの1つのスパイクを繰り返しRNAに組み込んであるようですので、予期しない蛋白ができる危険性を孕んでいる訳ですから一抹の懸念が残ります。
そのような事実から、私の疑問は略解消されましたし、これが皆様方の疑問の一助となれば幸いです。
兎に角、当初は何年もかかると予想されていたワクチンがたった10ヶ月で実用に至った経緯は、一朝一夕にできたものではなく、過去数十年の研究者たちが、止むに止まれぬ偉大な魂で、何万回も繰り返した失敗をものともしない遺伝子・蛋白・免疫学などの一握りの成果の積み重ねの上、に成り立っているのだと、私もこれまでに繰り返した失敗を振り返り、本当に感慨深いものを感じた次第です。
熊本総合病院もこれに倣って、全職員が止むに止まれぬ心でずっと脈々と、百年後ぐらいに後世の地域住民の皆さんが喜んで頂けることを目標に、鋭意、努めて参ります。
なにはともあれ、本年度も当院は、引き続き全職員が一丸となって、「医療とともに、公に一肌脱ぎ」ながら、9月から着工予定の大規模増築でも「今、医療はまちづくりにも貢献しなければならない」という意気込みを持って、JCHOの一員として「地方創生」に寄与できるように、さらに精進して参ります。
本年度も、皆さま方のさらなるご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。
令和3年 4月吉日
2021.1
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 新年号 病院長挨拶より〜
2021.5
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 春号 病院長挨拶より〜
2021.7
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 夏号 病院長挨拶より〜
2021.10
〜熊本総合病院だより 『ぱとす』 2021年 秋号 病院長挨拶より〜