1981年以来我が国では、悪性新生物が死亡原因の第一位となり、2008年にがんで死亡した人は約34万人と、全死亡数の約3割を占めます。
がん罹患率は2005年は1975年の3倍となっており、増え続けています。さらに、加齢によりリスクが高まるため今後高齢化が進行することにより、ますますがん患者は増え、死亡者数も増加していくことが推測されます。


放射線治療は大きく、治療を目的とした根治治療から術前・術後照射、予防照射、症状緩和や延命を目的とした緩和照射に分けられます。当院ではどの目的の治療にも対応しますが、疾患としては現在主に悪性リンパ腫、乳がん、食道がん、肺がん、婦人科がん、骨転移などの治療を行っています。放射線治療はCTをベースにして計画を行い、毎回照射前に位置を確認するIGRT(Image-Guided Radiotherapy)というシステムを導入しており、より高い精度での照射が可能です。2025年度より、体表面を光学カメラで捉えリアルタイムに体の位置を把握するSGRT(Surface Guided Radiotherapy)を導入したため更に患者さまへの負担の軽減や、治療効率が向上しています。
生活の質の向上も重視しており、疾患によっては外来通院での治療も行っております。放射線治療医、放射線技師、看護師がチームを組んで診療にあたらせていただきます。
また、化学療法と組み合わせて治療(化学放射線療法)を行うこともできます。また、疼痛や神経症状の改善にも効果を発揮します。
従来からがん治療の3本柱の一つとして位置付けられてきた放射線治療は、2006年に法律として制定されました。
「がん対策基本法」の中で「現在は、がんの種類によっては、放射線療法が手術と同様の治療効果を発揮できるようになるとともに、新たな抗がん剤が多く登場し、化学療法の知見が蓄積してきたことから、進行・再発といった様々ながんの病態に応じ、手術、放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療が各々を専門的に行う医師により実施されていくことが求められている。」
とのべられているように、関連法規の制定も整備されたこともあり、放射線治療は確実に認知され、がん治療に果たす役割は日増しに大きくなっています。それは、放射線腫瘍学の分野としての文献が数多く書かれて、「根拠に基づく放射線治療」の実践が可能になってきているからに他なりません。
また、近年の放射線治療を行う機器は、機械技術、コンピューター技術の進歩により、より高精度・高正確に放射線治療を行える機器に発展しており、放射線治療を支えています。
当院の放射線治療装置は2025年の6月に更新しました。汎用型の放射線治療装置ですので様々な病気に対応できる装置です。近年の機器及びコンピューター技術の進歩により、低侵襲で高精度・高正確な治療を行うことが可能です。

放射線治療専門医
平成29年1月より、常勤の放射線治療専門医が着任し毎日診療を行っています。エビデンスに基づいた適応の判断を確実に行います。
患者さまに放射線治療に関する、方法、効果、副作用等の説明を十分に行い、納得・同意を得たうえで治療を行います。治療期間中の経過観察の診察も十分に行います。
他科、他病院との連携
他の診療科と綿密に連携をとっており、互いに協力し近年の集学的治療に対応できます。また、当院には放射線科があり、放射線科専門医が常勤しています。放射線治療科と綿密に連携しており、緊急時にも患者さまの対応ができる体制が整っています。
充実したスタッフ・精度管理
治療期間中放射線の照射を行う診療放射線技師は、放射線治療専門放射線技師の資格を持ち放射線に精通しています。放射線治療科には専属の看護師が配置されています。診察や照射の際には安心して治療が受けられるよう支援いたします。
また、当院には放射線治療品質管理士の資格を持つ放射線技師が在籍しています。
放射線治療装置、関連機器の精度管理はもちろん、放射線治療のあらゆる工程の管理を行っています。

診療日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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9:00〜12:30 | ― | ― | ― | 古 澤 | ― | ― | ― |
13:30〜17:00 | 古 澤 | 古 澤 | 古 澤 | 古 澤 | 古 澤 | ― | ― |
※当院の休診日(祝祭日および年末年始)はお休みです。

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当院の放射線治療装置は医療用リニアックに、位置合わせ用X線撮影装置「kVイメージングシステム」を搭載しています。
治療寝台に寝ている患者さまの正面と側面のX線画像を撮影し、位置決め用の基準画像と比較して位置の誤差をなくします。また、CBCTを撮影することも可能なので、三次元的な位置合わせが可能です。
また体表面モニタリングシステム「IDENTIFY」も導入しており、さらに高精度で非侵襲的な治療を可能としています。
