診療科案内


不整脈について


不整脈とは、心臓の電気信号が正常に伝わらず、
心拍が速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、
不規則になる状態です。
通常、心臓は一定のリズムで動き血液を全身に送りますが、
不整脈があると動悸やめまい、失神などの症状が現れることがあります。
一時的で問題のないものもありますが、命に関わるケースもあるため、
正確な診断と適切な治療が重要です。

不整脈の特徴と注意点




不整脈は健康成人でも多くの人が持っているといわれるほど一般的であり、自覚症状がなく健康診断で初めて発見されることもあります。治療の必要がない場合もありますが、種類によっては血圧の低下、失神やショック、さらには突然死につながる危険な不整脈も存在します。そのため、早期の診断と治療が重要です。当院では24時間体制で救急対応しており、気になる症状がある場合はすぐに受診をお願いします。

不整脈の診断


不整脈の種類はたくさんあり、自覚症状も人によって様々です。一番簡単な不整脈の見つけ方は不規則な脈拍や動悸などの症状がある時に医療機関を受診し12誘導心電図検査を受けることです。しかしながら、不整脈のほとんどは突発的に起こり一時的にしか症状が発症しないものが多く、病院の検査の時には正常な脈に戻っていることがよくあります。さらに詳しく不整脈がないか調べる場合、当院では主に2つの検査を受けることができます。
一つ目はホルター心電図という小型の心電計を装着して、24時間などの心電図検査を実施する方法です(左図:12誘導心電図 右図:ホルター心電図)

12誘導心電図 ホルター心電図


二つ目は植え込み型ループレコーダー(通称ILR;Implantable Loop Recorder)と呼ばれるもので、こちらは長期間(約3年間)心臓の拍動を継続的に監視し、不整脈や失神などの症状が起きた時の心電図を記録する装置です。装置は左胸の皮膚の下に埋め込んで使用します。手術は局所麻酔で時間としては10~15分程度で終了する比較的簡単なもので、植え込んだ後の見た目もほとんどわからず、日常生活の制限もありません。また、診断がつけばすぐに簡単に取り出すこともできます(下図)

不整脈の治療


治療法は、薬を使った「薬物療法」と、薬以外による「非薬物療法」の2つに大きく分けられます。
薬物療法は、脈の速い不整脈には脈拍を抑える薬を、不規則になる不整脈には規則正しいリズムになる薬を処方し治療するもので、不整脈自体を治すことはできないため永続しての内服が必要となります。
非薬物治療法は徐脈(脈が遅いこと)によるめまい・ふらつき ・失神などがある患者さんへの治療法となり、当院では2つ方法があります。



ペースメーカー

心臓に電気刺激を送り、脈が正常より遅い時に、心臓の脈拍数を正常範囲内に増やす機械を植え込む手術です。通常、鎖骨下の皮下に500円玉より少し大きいぐらいの大きさの電池を埋め込んで、ここから繋がったリードと呼ばれる電線のようなものを、鎖骨下静脈経由で心臓内に留置します。手術時間は通常、約1-2時間で終了し、局所麻酔で行います。当院では基本的に約7〜8日の入院期間で済み、植え込み後の生活の制限がそこまでなく通常の社会生活を送ることが可能です。車の運転や軽い運動も可能です。電池式のため、一般的に数年から10年に一度は電池交換の手術(通常1時間程度)を受ける必要があり、機械のチェックも1年に一度外来受診が必要となります。




リードレスペースメーカー

リード線を使用せず、カプセル型の本体を心臓内に直接留置する手術です。
できる患者さん条件がありますが、こちらはカプセル型の本体に電気回路や電池、電極などが組み込まれており、心臓の刺激伝導系に問題がある患者さんの脈拍を正常に保ちます。
(左図:ペースメーカー、右図:リードレスペースメーカー)




その他の非薬物療法

脈が速いことで動悸やめまいなどの症状がある方には、カテーテルアブレーションと呼ばれる治療を受けれることがあり、適応がある場合は当院よりアブレーションを施行できる関連施設へ紹介をさせていただきます。