診療科案内


心不全について


心不全とは、心臓が全身に必要な血液を十分に
送り出せなくなった状態を指します。
原因となる基礎疾患には、心筋梗塞や狭心症などの
虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、不整脈などがあります。
これらの病気が進行すると、心臓のポンプ機能が低下し、
息切れ・むくみ・疲れやすさなどの症状が現れます。
心不全は病名ではなく、さまざまな心疾患の終末像ともいえる状態です。

心不全パンデミックと医療への影響


基礎心疾患としては、心筋梗塞・狭心症・弁膜症・心筋症・不整脈などがあります。心不全状態になると主に浮腫・息切れ・呼吸困難などの症状が出現し、改善しなければ死に至ります。
高齢化に伴い、高齢の心不全症例が急増しています。この現象は「心不全パンデミック」と呼ばれ、病床の逼迫や医療費の負担増大が懸念されています。






心不全に対する薬物治療の基本と当院の取り組み


薬物治療は、心不全治療の基本となるものです。心不全の薬物治療の目的は大きく分けて二つあります。第一に息切れや浮腫みなどの症状を改善すること、第二に予後の改善、つまり心不全が悪くなって入院することを防ぎ、死亡率も下げ長生きできるようにすることで、それぞれの目的に適した薬を使う必要があります。
これまでの研究結果から予後改善が示されているACE阻害薬/ARB+β遮断薬+MRA+SGLT2阻害剤を基本治療薬とし、効果が不十分な場合にはACE阻害薬/ARBをARNIへ切り替えます。近年、心不全の予後改善効果が示されたSGLT2阻害剤、ARNIを加え、これらはファンタスティック4とも呼ばれています。
当院では、患者様の心機能や合併疾患などを考慮しながら、患者様それぞれに適した薬物療法を選択することを心がけています。




心臓リハビリテーション


当院では、心不全に至る前の基礎心疾患への早期介入や危険因子の管理を目的に、他の診療科や地域の先生方と連携する取り組みを行っています。また、薬物療法やカテーテル治療のほか、心不全による入院や心血管死を減少させる効果が認められている心臓リハビリテーションにも力を入れています。

心臓リハビリテーションは、心不全の再発/再入院防止・長期予後改善、運動耐容能増加、フレイル予防、抑うつ改善、QOL向上を目的とします。
心臓リハビリテーションでは単なる運動療法だけではなく、患者様と家族への教育、カウンセリング、栄養・食事指導、服薬指導、生活指導、禁煙指導などを、ハートチーム(医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなどの多職種)で取り組みます。





<かかりつけ医の先生方へのお知らせ>

心不全早期発見シートの導入

熊本総合病院循環器内科は、近い将来訪れると言われている「心不全パンデミック」に備え、地域の医療機関の先生方と連携を取りながら、より早期の段階で心不全を管理することが非常に大切と考えています。心不全症候を認めていない患者様でも、①高血圧・糖尿病・動脈硬化性疾患などの危険因子を有している患者様、②BNP・NT-proBNPがカットオフ値を超えて上昇している患者様などは将来的に心不全症候を発症するリスクが高く、心エコーなどでの基礎心疾患の評価が推奨されています。
「心不全早期発見シート」を持参して当科外来を受診頂いた患者様には、外来にて心エコーなどの心機能評価を行い、その結果を踏まえて適切な薬物療法導入の助言や疾患管理における生活指導などを行わせて頂きます。
この「心不全早期発見シート」は紹介状を兼ねており、必要事項とチェック項目を記入頂ければ、従来の紹介状は不要です。
以下からダウンロードしてご利用ください。



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