診療科案内

整形外科





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加齢に伴い関節の変形が生じることがあり、画像上、軽度の変形がみられる初期から進行期に、末期では関節の裂隙(すきま)が消失し高度な変形をきたします。変形性関節症が末期に至ると人工関節置換術が適応となります。

 

 

1)人工肩関節置換術

人工肩関節置換術には「従来型」と「リバース型」があります。従来型は肩関節の形態と同様の人工肩関節を、リバース型は肩関節の形態と逆の人工肩関節を用います。使用には臨床所見および画像所見で決定しますが、リバース型では65歳以上など制限が付きます。



図14

変形性肩関節症に対する人工肩関節置換術

腱板断裂性関節症に対するリバース型人工肩関節置換術

 

 

 

2)人工股関節置換術

変形性股関節症においては、若年者の初期では寛骨臼回転骨切り術など関節温存手術となりますが、高齢者の末期では人工股関節置換術が適応となります。

人工股関節置換術は、軟骨や骨の摩耗が引き起こす股関節の痛みを取り除き、機能を回復する手術です。当院では前外側アプローチ(ALS)と呼ばれる最小侵襲手術(MIS)を行い、筋肉や腱を切らない方法を採用しています。また、神経ブロック注射も行い、痛みの少ない手術を実現し、股関節の機能を早期に回復させ、入院期間やリハビリテーションの期間を短縮することを目指しています。



図15

右変形性股関節症(矢印)

人工股関節置換術施行

 

 

 

3)人工膝関節置換術

人工膝関節置換術には2つの方法があり、膝関節全体を置換する全置換術(TKA、図16)と、膝の変性が内側または外側に限定される場合にその部分だけを置換する単顆置換術(UKA、図17)が含まれます。UKAの方が術後の患者満足度が高いため、可能な場合はUKAを選択します。これらの手術により、膝の痛みが軽減またはほぼ消失し、O脚やX脚などの変形が改善されます。当院では、筋肉や腱を切らない最小侵襲手術(Minimally Invasive Surgery:MIS)を行い、手術前の神経ブロック注射や手術中の関節内カクテル注射を用いることで、膝関節の早期回復が期待でき、それに伴い入院期間やリハビリテーションの期間を短縮できます。また、手術までの期間に余裕がある場合は、CT画像をもとに、3Dプリンターで製作した設計 PSI(Patient Specific Instrumentation、図18) により、一人ひとりの患者さんの関節に合わせた、オーダーメイドの骨切りガイドを製造し、正確に人工関節を設置できるシステムも採用しています.



図16

変形性膝関節症(矢印)

人工膝関節置換術施行

 

図17

変形性膝関節症(矢印)

人工膝関節単顆置換術(UKA)施行

 

図18

CT画像をもとに3Dプリンターで製作した設計 PSI(Patient Specific Instrumentation)

オーダーメイドで人工膝関節置換術の骨切りガイドを製造

 

図19

当院の白石医師が熊本日日新聞(2022.11.13)に掲載されました